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2023年3月9日木曜日

Yes New Album / Mirror To The Sky


5月19日に新作リリースのアナウンス!
前作「The Quest」が2021年10月でしたので、約1年半ぶりというハイペースです。

少し前に専属画家(とか言っちゃって😅)のRoger Deanが、FaceBookで新作用アートを動画で公表し、一気に盛り上がりを見せたのですが、こんなに早くアナウンスされるとは。
定番のロゴは70年代のようなシンプルなグラデーション、タイトルはClose to the Edgeを彷彿とさせながらも、よりシンプルに整理されたバブルフォントでデザインされています。

そして明日3月10日には、先行トラックの配信が。
(現時点で、曲名は未発表のままです)

ライヴをメインに長年サポートを務めていたJay Schellenを、正式メンバーに迎えての初の作品となります。

スタジオ・アルバムとしては2014年の「Heaven and Earth」がChris Squire、2021年の「The Quest」がAlan Whiteと、続けてクラシック・メンバー達の遺作となってしまいました。
最後に残るSteve Howeは、70年代から続けている菜食主義のおかげでしょうか、その容貌に反して(失礼!)バリバリ健康そうですが、元気に頑張って欲しいものです。

オリジナル・メンバー不在のラインナップに、各SNSのオフィシャル・アカウントには、未だ否定的コメントが多いですが、私は現在のラインナップに不満はありません。強いて言えば、スタジオ盤の魅力は弱まっていると感じますが、最近足を運んだライヴはとても満足できるものでした。
もはやクラシックの楽団のように、ブランドとして続けていっても良い気がしてきています。

2023年1月4日水曜日

ABWH ~ An Evening of Yes Music Plus, Deluxe Box Setリリースに寄せて

高額に加え、タイミング的にも大枚叩いてまで入手するモチベーションではないので、一旦は見送りますが、実に魅力的なボックスです…。

過去のエントリーで書いたと思いますが、私の人生初のライヴ体験は1988年春、代々木体育館で行われたYes~Big Generator Tourでした。
1982年にASIAを経由して知ったYes。その当時Yesは解散状態だったので、ロックを知ったばかりの中学生の憧れは盲目的に強くなりました。そして程なくすると、ドラマティックに再結成。斬新な変身を遂げての大ブレイクを、思春期真っ只中の感性で目の当たりにしてきたので、正に待望のライヴ体験だったのですが、ハイティーンになっていた1988年頃には、既に往年のYesと当時のYesのギャップを知ってしまった後。いわゆる90125Yes(当時はまだ、そんなあだ名はありませんでした)もリアルタイムで大いに楽しんでいましたが、「だが、コレじゃない」感が芽生えていたのも事実です。

「Close to the Edge」直後の全盛期、滞在時にJon&Steveで「Tales from Topographic Oceans」の構想を練ったという1973年の初来日時、私はまだ3歳の幼児。それから実に15年もの時を隔てた2度目の来日公演が、私にとっては人生初のライヴ体験となったわけですが、残念な事にかなり記憶が薄れてしまっています。

その初めての生Yesメモリーを完膚なきまでに上書きしたのが、Anderson Bruford Wakeman Howe(ABWH)の結成と、1990年春の来日公演でした。
人生2度目となったこのライヴ体験、東京と横浜の全公演に足を運び、忘れようもないほどに記憶に刻み込みました。

90125Yesは、アルバムのリリース間隔こそ長かったものの、珍しくメンバーチェンジもせずに80年代を駆け抜けたので、このラインナップは盤石で、黄金期メンバーの再集結は見果てぬ夢に終わるのだろうと、当時の私は諦めていました。
そして私が、Yesに興味を持つきっかけとなったギター・ヒーローSteve Howeが、ASIA、GTRの商業的成功とは裏腹に、バンドのリレーションシップに失敗しているのを繰り返し見てきて、いたたまれない気持ちでいた80年代終盤。正に起死回生の一発に思えたのが、ABWHでした。

なんといっても全盛期メンバーの4/5が揃った事、特に「Close to the Edge」をレコードに残したものの、一度もライヴ演奏せずに去ったBill Brufordが戻ってきたのは、私のような若輩ファンにとっても奇跡の出来事に思えました。
Billは正に字義通りのProgressiveを体現するドラマーでしたので、彼が連れてきたTony Levinのサポート含め『ただの懐メロで終わるワケがない』という期待感もありました。

当時はまだ、Chris Squireの重要性は今ほど言われておらず、時には「目立たない」「静かな」メンバーとして紹介するメディアもあるほどでした。故に私も、彼の不在を殆ど気にしていませんでした。なんなら「生意気な若造」Trevor Rabinを擁護してYesの看板を譲らない巨漢のヒール、くらいにしか思っていませんでした(ただBig Generatorでの私のお気に入りは、彼のベースが大活躍するI'm Runningでした)。
今は勿論、ChrisがYesで果たした役割の重要性(音楽、運営どちらも)と当時の正当性、Trevorの並外れた才能も理解しています。

ABWHの既発ライヴ作品「An Evening of Yes Music Plus」は、既知のとおり病欠したTony Levinに替わって、Billのもう一人の盟友Jeff Berlinが参加しています。そのため、フルタイムでサポートしていたTony参加音源の方がレアになってしまっています。
指に長い「とんがりコーン」を装着したり、チャップマン・スティックを駆使した先進的な演奏には、本当に痺れましたし、シモンズのデジタル・ドラム要塞を縦横無尽に操るBillとのコンビネーションも最高でした。

本作の国内盤は、NHKホールでのオンボード音源も収録との事。Tonyの演奏が聴けます!
でも、高いんだよなあ…。

余談ですが、未だにBill Brufordの日本語表記には揺れがありますね。
私も世代的には「ブラッフォード/ブラフォード」で覚えたクチですが、自伝が出版された辺りからは意識して「ブルーフォード/ブルフォード」と記述するようにしています。過去のエントリーではブレの名残があって「ブルッフォード」とか書いちゃったりしていますが(笑)

2022年12月14日水曜日

今さらELP

Still...You Turn Me On 個人的には「恐怖の頭脳改革」に収録のスタジオ・ヴァージョンよりも、アコギ弾き語りライヴ・ヴァージョンの方がグッときます。(この動画、Gregがくっちゃくっちゃしながら唄っているのが気になりますが…笑)

Lucky Man 代表曲のひとつとして挙げられる事も。Gregが初めてギターを手にしたティーン時代に書いた曲としても有名です。

今さらですがELP、しかもGreg Lakeのアコースティック小品にハマっています。密度の高い甘い声、哀愁と優しさ漂うメロディ、アコギの調べ。ELPといえば3人ともが個性と才能に溢れた集団でしたが、特にKeith Emersonに耳目が行きがちなユニットでもありました。ワイルドなパフォーマンスと演奏という点では、Carl PalmerもKeithと競っていましたね。そんな中で若干控えめな印象ではありますが、Greg作の小品も実に味わい深く、もう一つの大きな魅力です。

今なぜ改めてELPを聴こうと思ったかと言えば、前エントリーのASIA in ASIAを観賞したのがきっかけ、としか言いようがありません。あの来日公演は、直前のJohn Wetton → Greg Lakeというフロントマンの交代劇があり、当時 音楽雑誌などの評判は、決して良いものではなかったと記憶しています。特に急遽助っ人加入を余儀なくされたGregの粗探しばかり取沙汰されていました(美青年が肥えた、歌詞を覚えられずプロンプターを見ながら唄った、このライヴが終わったら直ぐに脱退してしまった、など)。
埼玉の片田舎に住み、ライヴに行けなかった当時中学生の私は、約40年の時を経て遂にその全貌に触れる事ができました。実際には80年代にレンタル・ビデオで観ましたし、最近もYouTubeで観る事も出来たのですが、映像も音質もリマスターされた作品に触れ、単純に「Gregスゲー」となったわけです。

 私にとって1970年代のプログレ全盛期は、全て1980年代以降の後追いです。80年代の私はほぼ学生期。小遣いを貯めたりバイトをしてレコードを買っていました。当時は貸しレコード屋なんていう店も流行っていましたが、16歳くらいまで家にはヘボいラジカセしか無かったので、殆ど利用しませんでした。それに、同時代の話題作、ヒットチャートも欠かせなかったので、旧作は2~3ヶ月に1枚程度、所謂名盤と呼ばれる作品を買うのがやっとでした。ただ、当時はテレビもFMラジオも洋楽番組が沢山放送されていて、古い音や映像に触れる事ができたので、それらから受けた影響も大きなものでした。

そんな私が後追いターゲットとして最優先したのはYes。次いでKing Crimson, Led Zeppelinでした。その当時から音楽雑誌では、10年~15年前の作品を「名盤」として紹介してくれるコーナーもあったので、Pink Floyd, Genesis, Rushなどは、そんな感じでピックアップされたものだけを買って聴いていました。

こうして歳を取ると10~20年前、ヘタすりゃ30年前ですら、つい最近のように感じますが、10代にとってのその差は、とてつもなく大きな隔たりに感じられたものです。だって、物心もついていないガキンチョ、もしくは生まれてすらいない時代の話ですからね。

でELPなのですが、結局レコード時代には1枚も買う事がありませんでした。TV放送されたいくつかの映像には感動しましたし、FMエアチェックした曲も少なからずありました。その当時は、Keith Emersonが音楽を担当した映画「幻魔大戦」のテーマ曲も、ラジオでよくかかっていた記憶があります。ともあれ、ELPをしっかり聴いたのは、CD化された90年代にようやく、という感じです。


これはDeep Purpleにも通じるものがあって、特に背伸びしたい10代男子にとっては、ELPとDeep Purpleはちょっとおバカに感じられたのです(笑)。私は結局いまに至るまで、どのバンドでも歌詞を深堀りする事など殆どしないおバカのままなのですが、若かりし頃はちょっと賢くニヒルに感じられる雰囲気が好きだったのだと思います。だから、この偉大な2バンドに関しては、後にCDを買ったものの、1枚もレコードを持たず仕舞いで終わってしまいました。

それでも、10代の頃からの、ELPのお気に入りの曲は幾つかありました。

コレとか


コレとか(結局、私はコープランドの曲が好きって事かな?)

この管弦楽共演版は、1985年にFMで聴いて以来、ずっと好きなヴァージョンです。

KeithもGregも2016年に他界し、私は彼らのライヴを一度も観る事ないまま、機会は永遠に失われてしまいました。遺された音源を聴き続ける事も大切ですが、生の演奏は可能な限り体験しておいた方が良いですね。

2022年11月18日金曜日

ASIA in ASIA ~ Live at the Budokan Arena Tokyo Japan 1983



 このライヴは私にとっては因縁深い事件でした。1983年、中二の秋、人生で初めて行きたいと思い、行けなかったライヴ。

後に出たビデオは高額で買えず(ほぼ同じ年代に出たYes / 9012Liveを選んでしまいました!どちらも¥10,000以上!学生には厳しい価格設定でした)、レーザーディスクは再生ハードさえ買えず、高校に上がってから懐かしのレンタルビデオで1度だけ観て、そこから悠久の時を経て、最近になってやっとYoutubeで再会できたライヴ。

これに行けなかった事で、私の初コンサートはこの5年後のYes ~ Big Generator Tourとなり、その後もYesの来日には何度も足を運びましたが、ASIAは結局ただの一度も観ないまま、John Wettonが他界してしまいました。この時だけスポット参加したGreg Lakeも既に鬼籍入り...

そして約40年の時を経て、ようやく手にしたこのボックスセット、我が家のBlu-rayレコーダーが故障したままなので、画も音もレストアされたという映像はまだ観る事ができていません…

しかし、です‼

MTVが総力を結集し世界中に衛星生中継した12/7、その前日の12/6のオンボード音源が2枚のCDとして収められ、その音質、演奏ともに最高すぎて、それだけで既に『刻への浪漫(敢えて中二っぽい当て字・笑)』を味わう事となりました。

封入特典も豪華で、当時の若々しいメンバーの写真を使ったポストカード、コンサートチケットやバックステージパス、パンフレットの復刻版まで入っています。くどい繰り返しですが、行けなかった私としては最高のパッケージです。

今のように情報が簡単に入らなかった当時は、音楽雑誌だけが頼りでした。そこには評論家の好みであったり、故意か不意か誘導的な感情の文体であったり、実際に体験できなかった読者は、それを読んで想像するしかありませんでした。

来日直前に参加オファーのあったGreg Lakeの後評判は、あまり良いものではなかったと記憶しています。ですが、このCD2枚を聴いて、良くやった!!と拍手を送りたくなりました。John Wettonよりキーが低いために、楽曲そのものを彼の声域に合わせなければならなかったそうですが、脂が乗っていた当時の演奏を聴いていると、歌もアンサンブルも素晴らしいし、テンポも良いし、下げたキーはさほど気になりません。

映像に収められなかった2度目のアンコール「Cutting it Fine」は、確かにギターイントロが終わった直後に不自然な転調が見られますが、「ん?」と感じたのはそこくらいです。
この2度目のアンコールのセトリは、長らく謎に包まれていたそうです。既出&今回レストアされた映像作品は、当時の生放送に合わせた状態のまま最初のアンコールSole Survivorで終了します。
2ndアンコール最終曲は、アルバムから洩れたのが不思議なほどの名曲Daylight。Cutting it Fineからの流れも感涙モノです。

Greg LakeはELPも含め、遂に一度も観ることなく他界してしまいました。
John WettonはAsiaで観ることは叶いませんでしたが、1996年のSteve Hackett and Friendsで観られましたし、その際はアコースティック・アレンジのHeat of the Momentを聴く事ができました。
存命メンバーの中ではCarl Palmerだけまだ一度も観ていません。
Steve爺さんはABWH以降、老いの進捗を確認するように何度も観てきました(私は彼の長男Dylanと同い年ですが、共に老いたと言うべきか。笑)。
GeoffはYesで3度ほど。Drama, Fly from Hereはとても好きな作品ですが、彼はやはりAsiaの印象なのでYesで観ても有り難みが...笑。

まだ聴き込んだと言えるほどではありませんが、一番驚いたのは、メロトロンが意外なほどふんだんに使われていた事です。Geoffのキーボードといえばシンセが第一に思い浮かび、加えてオルガンとピアノを印象的に使うという認識でした。
Steveのギターも太く、速く、よく言われるモタりも、まだ「タメ」としてカッコよく感じられる程度で、なかなか聴けないくらいロックしているのがイイ!
Carlの走るドラムは疾走感を持ってグイグイ牽引していくのがとても気持ち良い!
そしてGreg!前任者のJohnとはKing Crimsonの先輩後輩の関係でもあり、歌唱、ベースプレイ、存在感は全く遜色ありません。歌詞を覚えきれず、プロンプターで表示させていたそうですが、そんな情報要った?っていうくらい朗々と歌い、自分のものにしているように聴こえます!プロですね〜!

rrrrRock no Youi, Iidesuka⁉︎ (Are you ready to Rock’n’Roll!?)

2021年10月15日金曜日

Genesis Piano Project / フル・アルバム・リリース!!

この数年、YouTubeで観られるライヴ映像に、ハマりにハマったのが、このGenesis Piano Projectです。

Angelo Di LoretoとAdam Kromelow, 二人のピアニストによるユニットで、これまではライヴとYouTube配信で活動してきました。

そんな彼らですが、遂にフル・アルバムがリリースされました。

収録曲はもちろん全曲Genesisのカヴァー。2nd「侵入」から7th「静寂の嵐」までの楽曲から選曲されています。

Apple Musicでは10/10にフル・アルバムの配信がスタート。その少し前には「サルマシスの泉」が先行配信されていました。

The Fountain of Salmacis

レコーディング場所はなんと!

Genesisのオリジナル・メンバーが、学び育った寄宿制学校「Charterhouse」にて実施されたとの事です。YouTubeで数曲、その様子を観る事ができます。

Firth of Fifth / Supper's Ready

Stagnation

YouTubeでしか体験できていませんが、彼らの魅力はライヴと思っていました。
オリジナルへのリスペクトが強く感じられる、最小限のアレンジによる再現力、きらびやかなのに邪魔にならない高い演奏技術による装飾。そしてライヴならではの胸アツなドライヴ感と、二人の阿吽の呼吸には舌を巻くばかりでした。

彼らの神髄はライヴにある、と思うのは今も変わりありませんし、今回のアルバムもオーディエンスが居ないだけで、ほぼライヴなのだとは思います。
ただやはり、スタジオ録音と同義の作品として制作したのでしょう。いままで公開されていた映像での演奏に比べると、よりきっちり纏めてきた印象があります。
ただそれは全く悪い意味ではありません。
1曲1曲に、一音一音により没入できる仕上がりになったように感じます。

彼らの音楽を聴いていると、Genesisの音楽性の高さを再認識させられますし、ピアノ曲になっても全く違和感なく、すんなりと耳に、心に入ってくるのを感じます。そして特に、Tony Banksの作曲能力の高さに唸らされます。
Genesisは、特にプログレ期にあってはPeter Gabrielの圧倒的存在感や、今もその音楽を継承し続けているSteve Hackettの存在にスポットが当たりがちです。それは勿論間違いではないですし、私もメンバーのソロ・キャリアに関してはPeterとSteveばかり追いかけてきました。

GenesisのピアノカヴァーはGenesis Piano Projectだけでなく、さまざまなピアニストによってリリースされてきましたが、それらを聴いて改めて思ったのは「Tony Banksすげー!」でした。彼の才能があったからこそ、ピアノ曲としても受け継がれ続けているのだなぁ、と思います。

最後に、彼らの演奏の中でも白眉と思う、イタリアでのライブ映像を貼って締めにしたいと思います。
Cinema Show (Pt.2)

2021年10月3日日曜日

Yes / The Quest

なんだかんだ言って、めちゃめちゃ楽しみにしていた7年ぶりの新譜です。

10/1 に日付が変わった0時、直ぐにApple Musicにアクセス。4時近くまでリピートして聴き込みました。そして3日経つ今も、時間があれば聴いています。とはいえ、まだ印象が固まりません。スルメ・タイプの作品かもしれません。

オリジナル・メンバーは3人生存していますが、現ラインナップには含まれません。

残念には思いますが、個人的には現メンバーに不満はありません。

Jon Anderson復帰を望む声は絶えませんが、いろいろ無理なのでしょう。

Bill Bruford & Tony Kayeも、本人たちの状況や意思としても無しです。

ギターのSteve Howeがプロデュース。Geoff DownesやBilly Sherwoodという、プロデュース業に長けたメンバーがいる中、遂に最長老がYes作品の総監督を務めました。

全11曲中、Steve作が6曲(Jon Davisonとの共作1曲含む)。そのためか、彼のギターはかなり楽しめます。時としてライヴで感じるようなヒヤヒヤもなく、名演を聴けます。エレクトリックは70年代中期を想起させるような緊張感や抒情性がありますし、幾つもあるSteveのトレードマーク「ペダルスティール」「ポルトガル・ギター」なども随所で印象的に響き渡っています。

アコースティック・ギターも冴えていて、澄んだ音色が響くさまは、かつてのWindom Hill作品のようです。

通して聴いた印象として、先行配信の「The ice Bridge」は、結果として他人の曲を転用したモノ、という事もあって異質だったという事。エッジが効いていて、キーボードも大活躍で、リードトラックとして否が応にも「Yes復活(何度目のコピーだ)」の期待感を煽る佳曲でした。

ですが、配信第二弾「Dare  to Know」で「ん?」となり、アルバム全体としては、そちら側の印象が強い、とても穏やかな作品として世に出ました。

そういう意味では前作「Heaven and Earth」の延長線上にあると言えるかもしれません。また、Billyがいる影響か(良い意味です)「Open Your Eyes」「The Ladder」、はたまた彼のバンドWorld Tradeとの近似性を感じる箇所も少しあります(The Western Edgeが顕著です)。

個人的に印象的だった曲を下記に綴ります。

- The Ice Bridge: 

作者問題も含め、過去のエントリーで書きましたので、今回は別の切り口で。

Cパート「Interaction」で繰り広げられるギターとキーボードのインタープレイは、本作一番の聴きどころではないでしょうか。

うろ覚えですが、2003年頃のライヴで繰り広げられた「South Side of the Sky」での、Steve & Rickの応酬を思い出します。

また、曲の骨組となったキーボード・パートは丸っきりFrancis Monkman / The Dawn of an Eraですが、JonDが作った歌メロは完全なオリジナリティがあり、そのクオリティも歌唱も最高です。

- Leave Well Alone: 

琴のような弦楽器のイントロはGTR「Here I Wait」を思い出します。

SteveはASIA「Heat of The Moment」で琴を実際に使用していたので、この曲でも使っているのかもしれません。

SteveとJonDが低いテンションで、ダーク&トラディショナルなメロディをユニゾンで歌うさまはミステリアス(笑)。

そしてCパートの"Wheels"は、Würm (Starship Trooper) 再び!という曲でした。もっとスロウ&メロウ、そして三拍子のワルツですが、3コードのギターインスト・パートという点で「Würm pt.2」と言ってもよさそうです。

- Mystery Tour: 

曲名の通りThe Beatlesに言及しており、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの名や彼らの曲名だけでなく、ブライアン・エプスタイン、ニール・アスピノール、マル・エヴァンズといった重鎮関係者の名前まで出てきて、音の方では「Strawberry Fields Forever」でお馴染みのメロトロン(フルート音)も出てきます。

この曲と次曲「Damaged World(Steve 作/歌)」を聴いたとき、単なるイメージなのですが、かつてのスーパー・グループ「Traveling Wilburys」が頭に浮かびました。気の抜けた軽快さというか、Yesもそういう季節に来ているんだなぁ、というか…。2曲ともSteveの曲です。

Yesは初期メンバーは特に、The Beatlesの影響下にありました。1stアルバムでは「Every Little Thing」を、後のライヴでは「I'm Down」のカヴァーが演奏されてきました。Alan WhiteはJhon Lennonのソロ作で仕事をしています。Steveも過去のインタビューで、何度もThe Beatlesに言及していたのを読んだ記憶があります。

CD2は3曲全てSteve作(1曲はJonDとの共作)という情報があったので、リリース前はいつものSteveのギター・ソロ的な「おまけ」かなと思っていましたが、蓋を開けてみると本作では意外にもギター・インスト曲がなく、全曲がバンド・アンサンブルでした。

SteveとJonDが、単独、共作合わせてそれぞれ6曲提供。GeoffとBillyはJonDとの共作でそれぞれ2曲だけ。この2人は作曲面/演奏面ともに、もっとしゃしゃり出ても良かったんじゃないか、とも思います。Alan Whiteもそうです。在籍歴は誰よりも長いのだから…。

ドラムに関しては、Alanはどれだけ叩けているのか、Jay Schellenとの割合など気になるところですが、正直分かりません。


総評としては、Steveのカラーが強く、彼のソロ・アルバムをYesとして仕上げた、という印象が少なからずあります。ただ、Yesは過去にもそういった経緯の作品があるグループなので、それでも良いのかもしれません。

新バンドだった筈の「Cinema」を、Yes再結成に寄り切った「90125」。

Billyと作っていたChrisのソロ・プロジェクトを転用した「Open Your Eyes」。

Bugglesの積年の恨みを晴らした(笑)「Fly From Here」(および ~Return Trip)。

今回はコロナ禍で、英米に分かれているメンバーの行き来も難しい中、作品として昇華させたSteveが頑張ったという事ですね!


良作と思いつつも、いまだ私なりの評価が定まらない本作をしっかり受け止めるために、過去作も少し聴き直しています。

・Heaven and Earth (2014)

・Tormato (1978)

雰囲気が似ているこの2作品を知り直す事で、何か見えるような気がしていますが、久しぶりにTormatoを引っ張り出したら、過去に見えなかった部分が色々見えてきて、改めてTormatoの良さを知る、という結果になりました(笑)。

2021年9月1日水曜日

Yes / Dare to Know

 


まもなくリリース予定のNew Album「The Quest」から、9/1に2曲目「Dare to Know」が配信されました。

今回はSteve Howeひとりの作詞作曲。良くも悪くも実にSteveらしい、まろやかな曲です。オーケストラも導入されて、インスト部分だけ聴いているとムード音楽のようです。

ギター類はふんだんに使われています。エレクトリック、アコースティックは当然の事、ペダルスティール、マンドリンも聴こえてきます。
ただ、円熟味というかなんというか、前面に出る感じは全くなく、Steveによる弦楽器のオーケストレーションがベースにあって、そこにバンドの音と管弦楽を乗せた、そんな感じの曲です。

キーボードは先行曲「The Ice Bridge」と異なり、かなり控えめ。うっすらとオルガンの白玉が聞こえる程度です。

そして、Steveのヴォーカルもふんだんに(笑)入っています。
Jon Davisonとの、オクターブが違うユニゾンです。
彼のヴォーカルは誰かと一緒だと悪くはないのですが、あまり前面に出てしまうと、いただけません。今回はギリ良しとしましょう(笑)。

Steveは誰かとタッグを組んだ時やプロデューサーが他に居る時の方が、コンポーザーとしての才能が発揮されるように思います。ひとりでは起きえない化学反応とでも言うのでしょうか...
Yes初期、Jon Andersonと作ったRoundabout (こわれもの), Close to the Edge (危機), Awaken (究極) などは不朽の名曲となりました。John Wettonと作って一緒に歌ったOne Step Closerも、ASIAとしては地味な1曲かもしれませんが、実に良い曲です(元アイディアはSteveがYes前に在籍したBodast時に、既にありましたが)。
Steveひとりの作でも、Trevor HornプロデュースのHour of Need (フライ・フロム・ヒア)は、素朴ながらとても良い仕上がりだったと思います。

一方でAbilene (トーマト / Don't Kill the Whale, c/w)は、とてもユルユルで、アルバムから弾かれシングルB面が関の山、というような曲でした。彼のソロ・アルバムも特に歌モノは、同じような雰囲気が多いように感じます。
この新曲は…申し訳ないのですが、どうもコッチ寄りの気がしてなりません。
アレンジやプロダクションはとても頑張った跡が見られますが、曲がユルくて魅力に乏しい…。

The Ice Bridgeは、パクリ問題(解決済み)や、シンセ音の古臭さなどを差し引いても、エッジの効いた聴きごたえのある曲でしたので、Dare to Knowには、アルバム直前に少しがっかりさせられてしまいました。

2021年7月24日土曜日

Yes / The Ice Bridge (2021/07/23の新曲)

コロナ禍も世界中でワクチン供給が進み、次のフェーズに移行できるか?というタイミングで、Yesニュー・アルバム発表(2021/10/1予定)のアナウンスがありました。純粋な新作としては2014年Chris Squireの遺作となったHeaven and Earth以来7年ぶりとなります。

間には2011年のFly from Hereを1980年DramaのラインナップでリニューアルしたFly from Here - Return Trip(2018年)、数年ツアーに帯同していたRick Wakemanの息子Oriver Wakeman在籍時のスタジオ・レア音源を再編したミニ・アルバムFrom a Page、他にも数々のライヴ・アルバムのリリースがありましたが、スタジオ・フル・アルバムとしては本当に久しぶりです。

Chris没後、ライヴでは長い事そうなっていますが、本作は遂にオリジナル・メンバー不在のYes作品に。

Steve Howe (G, bVo)

Alan White (Dr)

Geoff Downes (Key)

Billy Sherwood (B, bVo)

Jon Davison (Vo)

の五人に加え、長年体調が思わしくないAlanのサポートとしてJay Schellen (Dr)が参加しています。

そしてプロデューサーは、最古参で現Yesのリーダーと言えるSteveが担当。BillyやGeoffといった、プロダクションのキャリアがある二人を擁するラインナップにあって、これはかなり驚きでした。Steveはギター職人気質だし、自身のソロワークでのプロデュースしか知りませんので。

不安と期待(不安が先。笑)が入り交じる中、昨日7/23に、新曲The Ice Bridgeの配信が開始!早速YouTubeとApple Musicで聴きました!

作はJon Davison / Geoff Downes

7分を超える組曲形式で、ホーン系シンセのファンファーレで幕を開けるイントロは、ASIAっぽい、もしくはELP の庶民のファンファーレやTouch and Goを彷彿とさせます。曲の後半ではモーグの音色でギターとの応酬もあって、圧巻です。

Steveのギターは伸びやかで、ライヴ時のような不安を感じさせません(笑)。実にSteveらしい、クリアに近い、柔らかく歪ませたトーンが心地よいです。RelayerやAwakenのような、ひりひりした緊張感もあって、近年で一番良いプレイでは?と思わせてくれます。

JonDのヴォーカルは更に磨きがかかっています。これまでのTrevor HornやBenoit David以上にJonAの声質に近いですが、オリジナリティがしっかりあり、似ているかどうかなど気にする必要もないほど、今のYesにマッチしています。

BillyもChrisの申し子、とまで言えるかどうかは分かりませんが、頑張ってブリブリ言わせています。

ドラムはどちらが叩いているのでしょうね。AlanはYesブランドを保つための名前だけなのかどうなのか…

歌詞をざっと見たところ、コロナ禍の人類の危機を、原始時代の人の歩みになぞらえているのかな、と感じました。また、"scared fire" "All eyes to the east"といった歌詞は、五輪にも言及しているのかな?それともコロナ発生源であり、経済的にも軍事的にも急拡大している中国?どうなんでしょう。抽象的なところはYesismと言えそうです。

前作Heaven and Earthは、良くも悪くも牧歌的、良いメロディやフレーズもありましたが、緊張感が皆無で演奏もスカスカに軽く、私的には彼らのワーストでした。

今回はChris不在、バンドのプロデューサーとしては未知数のSteve制作、HaEとほぼオナメンという事もあって、アルバムのアナウンスを知った時は正直不安しかありませんでした。

しかし、先行曲The Ice Bridgeを繰り返し聴いて、アルバムが非常に楽しみになりました!


【追記】

新曲の反応を知ろうとtwitterを見ていたところ、思わぬ情報を見つけてしまいました。元Curved AirのFrancis Monkmanが1978年に発表したエレクトロニック作品「The Dawn of Man」が、この曲そのものだったのです!


もちろんYesならではのアレンジは為されている訳ですが、イントロからAメロのバックで流れるシークエンス、ブリッジのシンセなど、まんま使われています…。キーもコード進行も同じ…。
時代的にはBugglesの少し前で、あの時代特有の同じ匂いが…Geoffよ、やっちまったな⁉

2020年8月12日水曜日

Aviary / Soaring(35年を経て判明したラジオのあの曲)

若かりし頃にFMで聴いて以来、実に35年を経て判明した、私にとっては奇跡の1曲です。

以下は既に記憶が曖昧な部分が多々あり、Youtubeにアップされていたラジオ番組の音源を頼りに記憶と合致した内容が多く含まれます。

1985年、洋楽を聴き始めて数年が経ち、十代も半ばに差し掛かった頃、MTVでは飽き足らず昔の音楽にハマり始めた私は、難波弘之さん、渋谷陽一さんがDJを務めるラジオ番組をよくエアチェックしていました。

特に当時の私的ロックスター、ASIAやYES(90125)がきっかけで、プログレに引っ張られていました。

1985年5月放送のFM東京「マツダ・ザ・ミュージック(プログレ今昔物語)」を、いつものようにエアチェック。テープが勿体ないのでトークは録らず、音楽のスタート/エンドをタイミングよくボタン操作するのがルーティンになっていました。

アーティスト名、曲名はその場でメモったり、新聞やFM雑誌で確認したりしてインデックス・カードに書き込んでいたので、聞き間違いや聞き落としも頻発していました(笑)

そのカセットテープは転居を繰り返す中で処分してしまい、音源を失って既に長いのですが、上に貼ったYoutubeを見つけて鮮明に思い出しました。

松原みき / 真夏のゲーム

Jethro Tull / Bouree

ジェラルド / 今宵使者は来たりぬ

ELP / Abandon's bolero

Aviary / Soaring

Kansas / How My Soul Cries Out

U.K. / Thirty Years

ジェスロ・タル、ELP、U.K.辺りはその後 自力で該当する音源を見つけましたが、この放送回で一番に感動した曲がつい先日まで分からず終いで、心の隅に引っ掛かりつつも殆ど諦めていました。

曲前のトークがELP(パウエル)再結成の話からFocus再結成に展開した事もあって、そこだけ私の中でおかしな結び付けができてしまい、長い事Focusの曲と思い込み、彼らのアルバムを虱潰しに聴いた事もありました。

曲名もトークからのうろ覚えで「ソーリー(sorry)」と聞き間違えていたので、そりゃ見つかる筈もありません(笑)

よくよく考えればFocusとは似ても似つかない音楽性なんですが、泣きのギターはもしやヤン・アッカーマン?、ヨーデルの超絶ヴォーカルだから後期はポップに寄せてファルセットコーラスも?でも音は全然似てないよなぁ、と迷いながらもFocusはFocusで楽しんだ時期がありました。

この6月末から、両親の介護で実家帰省した事がきっかけで、もはや家財などは跡形もない元自室で過ごしているうちに、このラジオ番組の事を思い出しました。

過去にも何度か検索はしていたのですが、ヒットした事が一度もなく。

今回、実家でたまたまyoutubeでサーチしてみたら、まさかの番組音源がまるっとアップされているではありませんか!

しかもyoutube上の情報を見るとアップされたのは、ほんの一カ月前!

35年を要したとは言え、なんというタイミングでしょう!

やっと分かったAviaryというバンド。この35年間、私の音楽人生に全くカスりもしませんでした(笑)

1979年に公式アルバムを1枚だけリリースして散った薄幸のバンド。

LAメタル前夜ともいうべきブロンド・ロン毛にヒョウ柄ジャケット、革パンというダサいルックス。ジャケット・アートもジャンボ旅客機の両翼が猛禽類の翼という超絶ダサ・ジャケ(笑)。

なんですが!

音楽性の高さはなかなかではないでしょうか!

当時から今に至るまで、Queen,Sparks, 10ccなどが引き合いに出されていたようですが、ただの模倣には終わらずオリジナリティもしっかりあります。

売れなかったのは、音楽性と相容れないヴィジュアル/イメージ戦略の失敗としか思えません。

当時15歳の私が感銘を受けた曲「Soaring」は、長年得られなかった情報にノスタルジーなどのバイアスがかかって美化されただけかも、という杞憂がありましたが全くそんな事はなく、当時と同じ感動がありました。

戦争のパイロット哀歌かつ、緊張が続いた冷戦にもサラッと警鐘を鳴らす社会派の歌詞。泣きのメロディ、重厚かつ美しいファルセット・コーラスのサビ、歌いまくるギター・ソロ、ピアノやストリングスの抒情が詰め込まれた、正に隠れた名曲でした。

80年前後に興ったポンプ・ロックに含まれるらしいですが、そのあたりはよく分かりません。とにかく唯一のオリジナル・アルバムは再評価されて然るべきクオリティがあります。

この放送回のゲスト、故 松原みきさんが紹介した2曲は本当に私の琴線に触れまくりで、もう一曲の「ELP / 奈落のボレロ(ロンドン・フィル競演バージョン)」はスタジオ・オリジナル・バージョンよりも、他の数あるELP名曲群よりも、一番聴いたかもしれません。

それにしても長年探し求めていた曲を、それをオンエアしたラジオ番組丸ごと聴けてしまった奇跡。一気に当時にタイム・スリップした気分を味わえたひと時でした。

2016年7月24日日曜日

YES ft. Peter Gabriel - Watcher Of The Skies


【2021年追記:こちらはタンジェントというバンドのFake! 悪ふざけと判明しました💦】 

Yes & Peter Gabriel!!しかも1970年のWatcher Of The Skies!!
いやー、こんなコラボ・セッションがあったなんて知りませんでした!
Musical Brick という、Genesisのメンバーや時期ごとのコスプレをLegoで再現(!)するという、ステキすぎる集団がいるのですが、そのFacebookに投稿されたYoutube音源で初めて知りました!!
おそらく、Yes, Genesisの両バンドを知り尽くしていらっしゃる方からすると、「何を今更」なんでしょうけれど、私はどちらのバンドも30年以上好きなのに、恥ずかしながら知りませんでした。

Musical Brickの投稿と、Youtubeにアップされていたテキストから読み解くと、幾つかの貴重な情報を得られました。

1)フランスのTVでのスタジオ・ライヴ。

2)ジェネシスの学校の先輩で、1stのプロデュースをしたジョナサン・キングの計らい。

3)1970年のセッション!
 ゆえにWatcher Of The  Skiesが収録される「Foxtrot」より2年も早く出来ていた。
 Genesisは「Trespass」前後? 
 Yesは「Time And A Word」直前くらい?

5)Yesはオリジナル・メンバー期!
終演後のアナウンスで「Jon Anderson, Chris Squire, Peter Banks, Tony Kaye and Bill Bruford〜」と紹介されていますね〜。

音は正に1st〜2nd時のYesそのものです。
クリスのベースがぐいぐい前に出て、トニーのオルガンがキラッと光る。そして、黄金期に比べると、稚拙な勿体づけがちょっと目立つ(笑)。
Jon Andersonは紹介されているけど、何にもしていないような気がします。
もしかしたら、軽くコーラスでも付けているのでしょうか...

意外すぎる取り合わせに、本当に驚きました。
歴史に埋もれた奇跡って、思わぬところで知ることになるんですね!




2016年7月5日火曜日

2016年11月 Yes 来日決定!

噂は立っていましたが2年ぶり、Chris Squireが亡くなって初めての来日公演が決定しました。前回も11月末でしたから、本当に丸々2年ぶりの来日ですね。

(特に海外の)Yesファンの間では、Jon Andersonお得意の謀反ユニットARW、(Anderson Rabin Wakeman)が話題を呼んでいますが、私はChrisに託されたこちらのYesを断然支持したいと思います。誰がトリビュート・バンドじゃい!
かといって、もしもARWが来日となれば、それはそれで行ってしまいますが(笑)。

今回のセットリストは、欧米ツアーの「海洋〜」からのA&D面と「DRAMA」...だったらなお良かったのですが、「DRAMA」が外れて「Yessongs」からの抜粋ときたもんです。
「海洋」は個人的にはアルバム・ジャケット(LP)のアートワーク以外は失敗作だと思っているので、コンセプトを主導したJon Andersonがいるならまだしも、このラインナップでは演る意味がないように感じます(当時、創作の片腕だったSteve Howeはいますけど...)。特に「神の啓示」のイントロ、読経のようなポエトリー・リーディングの部分、あれはAndersonじゃないと、と思うワケです。
そして他がYessongsからとなると、いつものクラシックセットじゃん、と。
「DRAMA」と「Yessongs」だったら最高なんですけどね。

今回の参戦は、ちょっと静観しようかなという気分でいます。
追加公演が出たら、最終日だけ狙ってみたいと思います。

やっぱり仙台から毎回、東京に帰って宿泊して、というライヴの見方は、経済的にも精神的にもキツいです。それ自体はとても楽しいのですが、仙台にいる嫁さんや義父母の目が...

家とローンがなければ、今すぐにでも北国を出たいと切に感じている今日この頃です( ´Д⊂ヽ

2016年6月27日月曜日

Christopher Russell Squire Passed away, One year ago...



6月27日はChris Squireの命日。早いもので一周忌です。
Yesのベーシストにしてリーダー。リッケンバッカーの硬質で、そして高音域を多用したベースの音色で、楽曲をぐいぐい牽引し、バッキング・ヴォーカルでもJon Andersonとの絶妙のハーモニーを聴かせてくれる、Yesというバンドにとっては欠かせない魅力を持った人でした。

90年代くらいまではYes一筋、結成から一貫してYes関連以外の活動はありませんでした。
1975年のソロ・アルバムもメンバー全員がリリースする企画モノでしたし、「DRAMA」解散後のXYZ(JimmyPageとのプロジェクト)も、Cinema(90125Yes再結成の前身)も、それ自体として具現化はしませんでした。
あ、同時期にAlan Whiteとの共同名義でクリスマス・シングル「Run With the Fox」を出しましたね。あの曲は私の中では、一番のクリスマス・ソングです。


以前も書かせて頂きましたが、ChrisのYesでの最後の作品「Heaven and Earth」は、残念ながら非常に残念な出来なので、今夜はSteve Hackettとのコラボ「Squackett」を聴こうと思います。

それにしてもSteve Hackettは優しい人だなぁ。
最近ではKeith Emersonの死にもすぐにコメントを出し、トリビュート・コンサートにも出演していました。
John Wettonが病床にいれば、快方に向かった際にわざわざ自分のFBで報告してくれました。
今日もChrisの一周忌であることをFBでお知らせしていました。

ChrisはYes一筋でありながらも、同世代、後輩たち多くに慕われ、Steve Hackettはそんな人たちに惜しみなく敬意を払い、友情を築く。また、後世代との共演や起用も積極的に行動し続けています。
Squackettの絶たれてしまった将来、楽しみでした。


2016年6月14日火曜日

ARW...? 頑張れAlan White & Steve Howe組


Anderson Rabin Wakeman...
既にそんなに新しくない情報ですが、触れないわけにはいきません。
これは本家Yesとはどういう関係性を持っているんでしょう?
Roger Deanがイラストを描いているということは、Yes公認なのかな?
まぁ、そんなことはなさそうな気がしますが...

1989年のABWHは当時、とても素晴らしい再結成に思えましたが、結局は短命に終わり、Yes本体もその後ごちゃごちゃした挙句に90125のラインナップに戻るという、身も蓋もない収束を見せ、私個人としてはとてもがっかりした記憶があります。

その際、次作では90125のメンバーにRick Wakemanも加わるという情報がありましたが、結局それは実現せずに「TALK」が完成。
当時はTrevor RabinとRick Wakemanが意気投合して...という話でしたが、スケジュールだか契約上の問題だかで、かつてないラインナップでの始動は夢と消えました。

今のYesが一部でトリビュート・バンドと呼ばれてしまうようになったのは、やはりChris Squireの死が大きいと思います。Jon Andersonは確かにVoice of Yesと呼ばれていますし、それに異論は全くありませんが、Chrisの存命中はJonの不在で評判が悪かろうが、彼さえいればそれでYesだったのですから。

今のYesでChrisの遺志を継いでいるのはAlan Whiteでしょう。Steve HoweはYesというバンドには愛があるのでしょうが、長年の仲間である筈のこのリズム隊との友情は、正直あまり感じられませんし、気を許しているのはおそらくGeoff Downesくらいなんじゃないでしょうか。

AlanはChrisにYesを続けるように言われたという趣旨の言葉を、Chrisの死後にコメントしていました。彼は今の状況に苦しんでいるような気がします。
彼はどちらかといえば現バンド・メイトのSteve HoweよりTrever Rabinに、友情やChrisへの想いという部分でもシンパシーを感じている筈です。
でもChrisの遺志を尊重し「このYes」を存続させなければならない。

正直なところ、Chris Squireへの想いという点でYesを再編するなら、今回の新しいARWに、Alan White、Billy Sherwoodが加わるのが、妥当な気がします。

本来であれば、現YesにJon Anderson, Rick Wakemanがそのまま再加入さえすれば、それでスッキリしますが、Steve Howeの存在が実に厄介な気がします。
Alanと一緒にYesをやりながら、直接じゃないにしても「Bill Brufordの方が良い」と言ったり、Chris逝去時のコメントも少しの友情も感じられないようなアッサリ感がモロに出ていたり。
これは単なる余談ですが、Keith Emersonが亡くなった際にも、同世代、影響を受けた後の世代かかわらず多くのコメントが寄せられましたが、過去に一瞬にしろバンドを組もうとした相手に何のコメントも出さなかったSteve...

私はSteveのファンとして、最近とみに感じられるこのような人格や(勿論、表に出ていることが全てとは思いませんが)、Yesにしろ脱退したASIAにしろ、バンドメイトとの関係性に、不安と落胆を禁じえません。

Yesのマネージャーは今もブライアン・レーンなのか知りませんが、Steveはかなり前からメンバーとの関係性よりも、マネジメントの言いなりのような気がします。(DRAMA解散からASIA, GTR, ABWH, UNIONまでの流れも含め)

Chris最後の作品となった「Heaven & Earth」は正直、退屈極まりない作品でした。
ARWという強力な刺客がYesをどう引っ掻き回してくれるのか、Chrisへの想いを強く持つJon AndersonとTrever Rabin, そしてRick Wakemanの作る音楽、またはライヴ...私自身はそれもまた複雑な思いではありますが、楽しみにしたいと思います。

私の本心は、トリビュート・バンドと揶揄される本家には、Jon Andersonお得意のお家騒動に惑わされずに頑張って欲しいですし、可能であれば「Heaven & Earth」という駄作を忘れさせるくらいの新作を創って欲しいです。
AlanとSteveが結束を強められることを、心から願います。