ラベル Geoff Downes の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Geoff Downes の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年5月20日土曜日

Yes新作 Mirror to the Skyを聴いた

アルバムのリードトラック2曲「Cut from the Stars」「All Connected」を事前に何度か聴いて、イメージはできていました。2021年の前作「The Quest」に近い、なんとなく良いんだけど、全体的に印象が薄い、そしてSteve Howeのソロ作に近い、良くも悪くもアットホームな感じ、とでも言うんでしょうか…。

前作のリードトラック「The Ice Bridge」は、イントロがELPぽいとか、作者の一人Geoff Downesが、ライブラリ上の手違いで他者の作品を誤用してしまったとかあったけれど、非常にフックの強い、期待感のある1曲ではありました。

その所為で、アルバムを通して聴いた時に、肩透かしを食らってしまったというのはありましたが。

本作はそんな事もなく「ああ、こんな感じね」と、変な意味で『安心できる』仕上がりです。
トピックとしては…
・前作に続き、オーケストラ導入
・プロデュースも前作に続きSteve Howe
・リード・トラック2曲はBilly SherwoodとJDの共作(All~ではSteveもクレジット)
・Geoffは作曲に殆ど関わらず、演奏面でも目立たず
・作詞・作曲にJon Davison大活躍
・CDの2枚目に相当する3曲含め、Steve Howe作の割合高い

個人的にはあまり歓迎できない要素も少なくありません。これまで現ラインナップに批判的なSNSコメント(ほぼ海外)に対して否定的だった私ですが、今さら彼らの主張が分かる気がしてきました。ジョーーーーン(A)、カームバーック!!!

Billyと新メンバーJay Schellenについては好意的に見られますが、Steveがイニシアティブを持ち続ける事と、JDにクリエイティブ面を任せる比率が高い事、Geoffが働かない事が、今のYesをつまらなくしている大きな要素に思えてなりません。

Steveは1970年代黄金期のYesにおいて、重要なソングライターだった筈なんですが、作曲にプロデュースにと活躍している「The Quest」「Mirror to the Sky」の2作に関しては、微妙な気持ちにさせられます。彼のソロ作を聴いているような、ちょっと欠伸が出そうな感じ。
やはりJon Andersonという相棒がいたからこそ、当時はSteveの素材がより輝いたのかもしれませんね。
最近読んだJon Andersonのインタビューで、記者が「私にとって、あなたとSteveはProg界のジャガー&リチャーズ。コンビ復活を望みます」と懇願するように伝えていたのが心に残っています。

70年代もギター弾きまくりだったけれど、同時にベースもキーボードもドラムも同じくらい主張が強かったから、出来上がった音楽がスリリングだったのだと気付かされます。今のメンバーじゃキャリア差もあり、そうはできんのでしょう。

通算23作目のスタジオ・アルバムという事ですが、数えてみると合わない…。
ABWH、スタジオ作とライヴ混合のKeys to Ascension 1&2、Buggles Yesを再現するために理不尽に追い出されたOliver Wakemanが編纂したミニ・アルバム「From a Page」なんかも含めるのかな??

1. Yes(1969)
2 Time and a Word(1970)
3.The Yes Album(1971)
4. Fragile(1971)
5.Close to the Edge(1972)
6.Tales from Topographic Oceans(1973)
7. Relayer(1974)
8. Going for the One(1977)
9. Tormato(1978)
10. Drama(1980)
11. 90125(1983)
12. Big Generator(1987)
13. Union(1991)
14. Talk(1994)
15. Open Your Eyes(1997)
16. The Ladder(1999)
17. Magnification(2001)
18. Fly from Here(2011)
19. Heaven and Earth(2014)
20. The Quest(2021)
21. Mirror to the Sky(2023)

23作目とするための候補…(何だコリャ・笑)
・Anderson Bruford Wakeman Howe(1989)
・Keys to Ascension 1(1996)
・Keys to Ascension 2(1997)
・keystudio(2001)
・Fly From Here - Return Trip(2018)
・From a Page(2019)

2023年3月10日金曜日

Yes / Cut from the Stars 20230310新曲ですよ


うーん…。
Billy SherwoodがChrisらしさを一生懸命再現しているのかな。
ファースト・インプレッションはそんな感じです。

2023年3月9日木曜日

Yes New Album / Mirror To The Sky


5月19日に新作リリースのアナウンス!
前作「The Quest」が2021年10月でしたので、約1年半ぶりというハイペースです。

少し前に専属画家(とか言っちゃって😅)のRoger Deanが、FaceBookで新作用アートを動画で公表し、一気に盛り上がりを見せたのですが、こんなに早くアナウンスされるとは。
定番のロゴは70年代のようなシンプルなグラデーション、タイトルはClose to the Edgeを彷彿とさせながらも、よりシンプルに整理されたバブルフォントでデザインされています。

そして明日3月10日には、先行トラックの配信が。
(現時点で、曲名は未発表のままです)

ライヴをメインに長年サポートを務めていたJay Schellenを、正式メンバーに迎えての初の作品となります。

スタジオ・アルバムとしては2014年の「Heaven and Earth」がChris Squire、2021年の「The Quest」がAlan Whiteと、続けてクラシック・メンバー達の遺作となってしまいました。
最後に残るSteve Howeは、70年代から続けている菜食主義のおかげでしょうか、その容貌に反して(失礼!)バリバリ健康そうですが、元気に頑張って欲しいものです。

オリジナル・メンバー不在のラインナップに、各SNSのオフィシャル・アカウントには、未だ否定的コメントが多いですが、私は現在のラインナップに不満はありません。強いて言えば、スタジオ盤の魅力は弱まっていると感じますが、最近足を運んだライヴはとても満足できるものでした。
もはやクラシックの楽団のように、ブランドとして続けていっても良い気がしてきています。

2023年2月15日水曜日

ASIA 詠時感~時へのロマン(全曲レビュー)


私が人生で一番最初に買った洋楽アルバムは、本作と「TOTO IV~聖なる剣」の2枚です。
両作とも1982年、発売日に買ったわけではないけれど、同年に入手しました。

今回はASIAのファーストアルバムを取り上げます。
数年前に、先に2nd「ALPHA」を取り上げたのに、私にとっては音楽人生の指針となった1stが手付かずだった事に、今さら気付きました。せっかくなので全曲レビューをします。

当時中学一年生で、まだロックもポップスもよく解っていなかった時の事です。プログレもハードロックも、パンクもニューウェイブも何も知らず、ただ「洋楽」ってカッコいいなーと思っていた時代です。
1980年くらいからFMのチャート番組を毎週聴くようになって、その番組で「Heat of the Moment」を最初に耳にしました。当時のこの曲の第一印象は、普通に「良いね~」という程度でした。2ndシングル「Only Time Will Tell~時へのロマン」を最初に聴いた時のインパクトの方が強烈で、イントロのシンセ・サウンドにすっかりやられてしまい、なけなしの小遣いでアルバムを買わなければ!と、一大決心をするに至りました。そして1982年はずっと、ASIAとTOTOばかり聴いて過ごしました。

- Heat of the Moment

Steve Howeらしからぬパワーコードで始まるこの曲は、シンプルなポップロックに聴こえますが、いろいろ凝った要素があります。
先ずヴァース・パートは3拍子と4拍子を組み合わせた変拍子になっていますが、それを全く感じさせない自然さが素晴らしい。
そして、ASIAというバンド名に説得力を付けるためなのか、日本の楽器、琴も使われています。
曲の構成、キー、コード進行は、Geoff Downesが在籍したBuggles「Video Killed the Radio Star(ラジオスターの悲劇)」から持って来ていますが、上記の変拍子の導入や、ギター・オリエンテッドなロック・サウンドによって、簡単にそうとは分からないようになっているのは流石!非常に巧妙に作られたポップソングです。

BS-TBSの名曲を辿る番組「Song to Soul」で、かつて取り上げられましたが、本人たちや制作時の関係者の証言は、とても興味深かったです。
・ゲフィン・レコードからアルバムを牽引するリードトラックが欲しいと言われ、最後の最後に作った。
・復活請負人のA&R, John Kalodnerが、歌詞作りに難航していたJohn Wettonに対して、言葉のアドバイスをした。(Kalodnerは後にWetton/Downesの作曲チームをゴリ押しして、結果ASIAの成功を縮小させた人物だと思っているので、個人的には良い印象がありません)
・John Wettonのたっての願いで、バック・コーラスも含めた全てのヴォーカルをJohnひとりで録った。
・一聴してシンプルに聞こえるイントロのコード・ストローク・ギターは、さまざま異なる機材を通した多重録音で作られた。

単純に楽しめるポップの名曲も、技巧で腕を鳴らした集団にかかると、幾つものとんでもない隠し味が秘められていた事が分かります。



- Only Time Will Tell

シンセ・ファンファーレのイントロに、少年だった私は一発で心を射抜かれたのですが、今聴くとちょっと恥ずかしく感じてしまいます(笑)。
ASIAの曲は、殆ど、いやほぼ全て?(ペイン期は知りません)が、サビでタイトルを連呼しますが、この曲はそれが無いのが私にとっては好印象。
2番以降のヴァースで、カウンター・メロディとしてバック・コーラスが歌っていますけどね。
ドラマティックなシンセと、ロングトーンで唄うギター、分厚いコーラスワークが魅力的な名曲です。

- Sole Survivor

ギター、ベース、ドラムのヘヴィーなユニゾンで始まり、ワウワウの効いたギターソロが、のっけから乱高下する、とてもロックな曲。
ここまで頭の3曲はJohn Wetton / Geoff Downesのコンビで書かれていますが、Steve HoweもCarl Palmerも個性を全面に出してサウンド・メイキングに大きく貢献しているのが、2nd「Alpha」との大きな違いだと感じます。Johnもヴォーカルだけでなく、ベースにも存在感がしっかり出ています。

- One Step Closer

Steve HoweとJohn Wettonの共作曲。元ネタはSteveがYes加入前の1968年に活動していたBodastの「Come Over Stranger」。この曲の後半に登場するアルペジオが、One Step Closerではイントロからヴァースにかけてメイン・フレーズとして使われています。
Bodastは、レコード会社倒産のあおりを受け、完成したアルバムを世に出せなかったので、ASIAの一部としてでも日の目を見る事ができたのは何よりです。(Bodast自体も後年に、CDでもサブスクでも聴けるようになって、実はYesの名曲群でもSteveのアイディアが転用されました)
歌がマズいSteveですが、ここではJohnとハモりながらリード・ヴォーカルを取っています。
このデュエットは全く違和感なく、素敵に聞こえるから不思議!
因みにBodastの元曲は、Small Facesのようなモッズ・サウンドで、これはこれで違う魅力があります。


- Time Again

全員の共作によるA面ラスト。
ヘヴィーなユニゾンによるリフがオクターブを上がっていくイントロは、SteveとGeoffにとっては前作にあたるYes「Drama(1980)」のMachine Messiahを彷彿とさせます。
また、ヴォーカル・パートに入ってからのCarlのドラミングは、ELPのFanfale for the Common Man(庶民のファンファーレ)を想起させるシャッフル。それぞれのキャリアを総括したような、とてもカッコいい1曲です。

- Wildest Dreams

Wetton / Dowensの曲ですが、SteveとCarlも大活躍の1曲。
それにしてもSteveのギターは、ソロ・パートよりもバッキングでよく歌うように思います。この曲でも2番に入ってからのバッキングではコード・カッティングではなくシングルのロングトーンでカウンター・メロディーを奏でています。
そして圧巻はCarlのドラム・ソロ。SteveもCarlも口の悪い人たちから「ヘタウマ」とか言われますが、この曲には彼ら二人の実力/魅力が詰まっています。

- Without You

ASIAは当初、マネジメントの引き合わせにより、JohnとSteveで始めたバンドなので、1stには二人の共作曲がいくつかあります。2nd以降の殆どを占める事となるWetton / Downesの曲に比べると、少し重かったりポップさに欠ける面はありますが、決して見過ごすべきではない名曲たちで、ASIAには欠かせない一部分だったと感じます。この曲も4分弱の短い時間にあって、中間部にアコースティックパートが挿入されていたり、短調の曲がラストには微かな希望を思わせる長調に変調したりと、素晴らしい構成を楽しめます。

- Cutting it Fine

Steveの十八番、低音弦だけを移動させるアコースティックの3フィンガー・ピッキングで始まるこの曲は、John, Geoff, Steve三人の共作。1stではやはり、Johnのベースが随所で唸っていて、それも大きな魅力です。
全員の個性的なプレイが、平等に目立って活躍しているのがとても良いです。
2nd以降は正直あまりベースが聞こえないし、聴き取りたくなるような印象的なプレイすらしていないように思います。
この曲の後半は、後に「Bolero」と呼ばれるキーボード・ソロがあります。
私にとっては初めて耳にした音楽だったので、このソロ・パートには本当に感動しました。
後にKeith EmersonやRick Wakeman, Tony Banksなどを知る事となりますが、それでもこのGeoffのソロは、演奏技術よりも音楽そのものとして、深く心に残るものとなりました。

- Here Comes the Feeling

ラストはJohnとSteveの共作曲。フィナーレに相応しい、ドラマティックで明るく、爽快な曲です。Johnの歌は最後まで素晴らしく、ベースはブンブン唸り、Steveのギターは小さな曲でも縦横無尽に駆け巡り、Carlのドラムも単純な8ビートには留まらず、Geoffは煌びやかなシンセからエレピ、ハモンド・オルガンなどを駆使して盛り上げます。
4人の演奏でバシッとカットアウトするエンディングは、さながらライヴのラストのようで、正に大団円です。

- Ride Easy

Heat of the Momentシングルのカップリング曲で、アルバム未収録。後に12インチEP「Aurora(1986)」や、コンピ盤を含む幾つかのCDに収録されました。
ハープシコードの印象的な音色から始まる、愁いを帯びた名曲ですが、アルバム収録曲とは確かに毛色が違うのも分かります。
JohnとSteve共作の、忘れてはいけない1曲です。


MTVが主流になる直前、FM雑誌が音楽情報収集の主なメディアでした。
私はMUSIC LIFEよりも先に、二週間ごとに発売されるFMレコパルを購読し、それに掲載されるアーティストのストーリー漫画を楽しみにしていました。
ASIAも1982年に取り上げられ、それで彼らのストーリーを知る事となりました。
漫画の主人公はSteve HoweとCarl Palmerで、早朝の霧のロンドンをジョギングするSteveと息子のDylanが、空手の朝稽古をしているCarlにばったり会って意気投合、というフィクション(笑)。バンドの要であるはずのJohnとGeoffは一切ストーリーに絡んできません!
それでもそこでYes, King Crimson, ELP(とBuggles)というパワーワードを知る事となり、少し経った後にプログレ沼に嵌らざるを得なくなりました。

ASIAの成功は最初の数年間だけでしたが、それでも長く活動が続き、後年にはオリジナルメンバーで新たな作品を世に送り出す事も出来て、良かったと思います。

私はASTRAと、次のEP, AURORAを最後に彼らをフォローしなくなり、来日公演には一度も足を運ばないうちにJohnが他界してしまいました。早いもので、もう5年になります。
Johnは1996年のSteve Hackett & Friendsで、SteveはABWHとYesで、GeoffもYesで観る事ができました。Carlだけまだ観ていませんが、ELPは既に二人も失ってしまっているため、今後もCarlを観る機会はないかもしれません。
音楽会のレジェンドが次々と召されていくのを目の当たりにすると、ライヴはちょっとでも気になったら、迷わず行くべきだと痛感する昨今です。

2022年11月18日金曜日

ASIA in ASIA ~ Live at the Budokan Arena Tokyo Japan 1983



 このライヴは私にとっては因縁深い事件でした。1983年、中二の秋、人生で初めて行きたいと思い、行けなかったライヴ。

後に出たビデオは高額で買えず(ほぼ同じ年代に出たYes / 9012Liveを選んでしまいました!どちらも¥10,000以上!学生には厳しい価格設定でした)、レーザーディスクは再生ハードさえ買えず、高校に上がってから懐かしのレンタルビデオで1度だけ観て、そこから悠久の時を経て、最近になってやっとYoutubeで再会できたライヴ。

これに行けなかった事で、私の初コンサートはこの5年後のYes ~ Big Generator Tourとなり、その後もYesの来日には何度も足を運びましたが、ASIAは結局ただの一度も観ないまま、John Wettonが他界してしまいました。この時だけスポット参加したGreg Lakeも既に鬼籍入り...

そして約40年の時を経て、ようやく手にしたこのボックスセット、我が家のBlu-rayレコーダーが故障したままなので、画も音もレストアされたという映像はまだ観る事ができていません…

しかし、です‼

MTVが総力を結集し世界中に衛星生中継した12/7、その前日の12/6のオンボード音源が2枚のCDとして収められ、その音質、演奏ともに最高すぎて、それだけで既に『刻への浪漫(敢えて中二っぽい当て字・笑)』を味わう事となりました。

封入特典も豪華で、当時の若々しいメンバーの写真を使ったポストカード、コンサートチケットやバックステージパス、パンフレットの復刻版まで入っています。くどい繰り返しですが、行けなかった私としては最高のパッケージです。

今のように情報が簡単に入らなかった当時は、音楽雑誌だけが頼りでした。そこには評論家の好みであったり、故意か不意か誘導的な感情の文体であったり、実際に体験できなかった読者は、それを読んで想像するしかありませんでした。

来日直前に参加オファーのあったGreg Lakeの後評判は、あまり良いものではなかったと記憶しています。ですが、このCD2枚を聴いて、良くやった!!と拍手を送りたくなりました。John Wettonよりキーが低いために、楽曲そのものを彼の声域に合わせなければならなかったそうですが、脂が乗っていた当時の演奏を聴いていると、歌もアンサンブルも素晴らしいし、テンポも良いし、下げたキーはさほど気になりません。

映像に収められなかった2度目のアンコール「Cutting it Fine」は、確かにギターイントロが終わった直後に不自然な転調が見られますが、「ん?」と感じたのはそこくらいです。
この2度目のアンコールのセトリは、長らく謎に包まれていたそうです。既出&今回レストアされた映像作品は、当時の生放送に合わせた状態のまま最初のアンコールSole Survivorで終了します。
2ndアンコール最終曲は、アルバムから洩れたのが不思議なほどの名曲Daylight。Cutting it Fineからの流れも感涙モノです。

Greg LakeはELPも含め、遂に一度も観ることなく他界してしまいました。
John WettonはAsiaで観ることは叶いませんでしたが、1996年のSteve Hackett and Friendsで観られましたし、その際はアコースティック・アレンジのHeat of the Momentを聴く事ができました。
存命メンバーの中ではCarl Palmerだけまだ一度も観ていません。
Steve爺さんはABWH以降、老いの進捗を確認するように何度も観てきました(私は彼の長男Dylanと同い年ですが、共に老いたと言うべきか。笑)。
GeoffはYesで3度ほど。Drama, Fly from Hereはとても好きな作品ですが、彼はやはりAsiaの印象なのでYesで観ても有り難みが...笑。

まだ聴き込んだと言えるほどではありませんが、一番驚いたのは、メロトロンが意外なほどふんだんに使われていた事です。Geoffのキーボードといえばシンセが第一に思い浮かび、加えてオルガンとピアノを印象的に使うという認識でした。
Steveのギターも太く、速く、よく言われるモタりも、まだ「タメ」としてカッコよく感じられる程度で、なかなか聴けないくらいロックしているのがイイ!
Carlの走るドラムは疾走感を持ってグイグイ牽引していくのがとても気持ち良い!
そしてGreg!前任者のJohnとはKing Crimsonの先輩後輩の関係でもあり、歌唱、ベースプレイ、存在感は全く遜色ありません。歌詞を覚えきれず、プロンプターで表示させていたそうですが、そんな情報要った?っていうくらい朗々と歌い、自分のものにしているように聴こえます!プロですね〜!

rrrrRock no Youi, Iidesuka⁉︎ (Are you ready to Rock’n’Roll!?)

2021年10月3日日曜日

Yes / The Quest

なんだかんだ言って、めちゃめちゃ楽しみにしていた7年ぶりの新譜です。

10/1 に日付が変わった0時、直ぐにApple Musicにアクセス。4時近くまでリピートして聴き込みました。そして3日経つ今も、時間があれば聴いています。とはいえ、まだ印象が固まりません。スルメ・タイプの作品かもしれません。

オリジナル・メンバーは3人生存していますが、現ラインナップには含まれません。

残念には思いますが、個人的には現メンバーに不満はありません。

Jon Anderson復帰を望む声は絶えませんが、いろいろ無理なのでしょう。

Bill Bruford & Tony Kayeも、本人たちの状況や意思としても無しです。

ギターのSteve Howeがプロデュース。Geoff DownesやBilly Sherwoodという、プロデュース業に長けたメンバーがいる中、遂に最長老がYes作品の総監督を務めました。

全11曲中、Steve作が6曲(Jon Davisonとの共作1曲含む)。そのためか、彼のギターはかなり楽しめます。時としてライヴで感じるようなヒヤヒヤもなく、名演を聴けます。エレクトリックは70年代中期を想起させるような緊張感や抒情性がありますし、幾つもあるSteveのトレードマーク「ペダルスティール」「ポルトガル・ギター」なども随所で印象的に響き渡っています。

アコースティック・ギターも冴えていて、澄んだ音色が響くさまは、かつてのWindom Hill作品のようです。

通して聴いた印象として、先行配信の「The ice Bridge」は、結果として他人の曲を転用したモノ、という事もあって異質だったという事。エッジが効いていて、キーボードも大活躍で、リードトラックとして否が応にも「Yes復活(何度目のコピーだ)」の期待感を煽る佳曲でした。

ですが、配信第二弾「Dare  to Know」で「ん?」となり、アルバム全体としては、そちら側の印象が強い、とても穏やかな作品として世に出ました。

そういう意味では前作「Heaven and Earth」の延長線上にあると言えるかもしれません。また、Billyがいる影響か(良い意味です)「Open Your Eyes」「The Ladder」、はたまた彼のバンドWorld Tradeとの近似性を感じる箇所も少しあります(The Western Edgeが顕著です)。

個人的に印象的だった曲を下記に綴ります。

- The Ice Bridge: 

作者問題も含め、過去のエントリーで書きましたので、今回は別の切り口で。

Cパート「Interaction」で繰り広げられるギターとキーボードのインタープレイは、本作一番の聴きどころではないでしょうか。

うろ覚えですが、2003年頃のライヴで繰り広げられた「South Side of the Sky」での、Steve & Rickの応酬を思い出します。

また、曲の骨組となったキーボード・パートは丸っきりFrancis Monkman / The Dawn of an Eraですが、JonDが作った歌メロは完全なオリジナリティがあり、そのクオリティも歌唱も最高です。

- Leave Well Alone: 

琴のような弦楽器のイントロはGTR「Here I Wait」を思い出します。

SteveはASIA「Heat of The Moment」で琴を実際に使用していたので、この曲でも使っているのかもしれません。

SteveとJonDが低いテンションで、ダーク&トラディショナルなメロディをユニゾンで歌うさまはミステリアス(笑)。

そしてCパートの"Wheels"は、Würm (Starship Trooper) 再び!という曲でした。もっとスロウ&メロウ、そして三拍子のワルツですが、3コードのギターインスト・パートという点で「Würm pt.2」と言ってもよさそうです。

- Mystery Tour: 

曲名の通りThe Beatlesに言及しており、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの名や彼らの曲名だけでなく、ブライアン・エプスタイン、ニール・アスピノール、マル・エヴァンズといった重鎮関係者の名前まで出てきて、音の方では「Strawberry Fields Forever」でお馴染みのメロトロン(フルート音)も出てきます。

この曲と次曲「Damaged World(Steve 作/歌)」を聴いたとき、単なるイメージなのですが、かつてのスーパー・グループ「Traveling Wilburys」が頭に浮かびました。気の抜けた軽快さというか、Yesもそういう季節に来ているんだなぁ、というか…。2曲ともSteveの曲です。

Yesは初期メンバーは特に、The Beatlesの影響下にありました。1stアルバムでは「Every Little Thing」を、後のライヴでは「I'm Down」のカヴァーが演奏されてきました。Alan WhiteはJhon Lennonのソロ作で仕事をしています。Steveも過去のインタビューで、何度もThe Beatlesに言及していたのを読んだ記憶があります。

CD2は3曲全てSteve作(1曲はJonDとの共作)という情報があったので、リリース前はいつものSteveのギター・ソロ的な「おまけ」かなと思っていましたが、蓋を開けてみると本作では意外にもギター・インスト曲がなく、全曲がバンド・アンサンブルでした。

SteveとJonDが、単独、共作合わせてそれぞれ6曲提供。GeoffとBillyはJonDとの共作でそれぞれ2曲だけ。この2人は作曲面/演奏面ともに、もっとしゃしゃり出ても良かったんじゃないか、とも思います。Alan Whiteもそうです。在籍歴は誰よりも長いのだから…。

ドラムに関しては、Alanはどれだけ叩けているのか、Jay Schellenとの割合など気になるところですが、正直分かりません。


総評としては、Steveのカラーが強く、彼のソロ・アルバムをYesとして仕上げた、という印象が少なからずあります。ただ、Yesは過去にもそういった経緯の作品があるグループなので、それでも良いのかもしれません。

新バンドだった筈の「Cinema」を、Yes再結成に寄り切った「90125」。

Billyと作っていたChrisのソロ・プロジェクトを転用した「Open Your Eyes」。

Bugglesの積年の恨みを晴らした(笑)「Fly From Here」(および ~Return Trip)。

今回はコロナ禍で、英米に分かれているメンバーの行き来も難しい中、作品として昇華させたSteveが頑張ったという事ですね!


良作と思いつつも、いまだ私なりの評価が定まらない本作をしっかり受け止めるために、過去作も少し聴き直しています。

・Heaven and Earth (2014)

・Tormato (1978)

雰囲気が似ているこの2作品を知り直す事で、何か見えるような気がしていますが、久しぶりにTormatoを引っ張り出したら、過去に見えなかった部分が色々見えてきて、改めてTormatoの良さを知る、という結果になりました(笑)。

2021年7月28日水曜日

Yes / The Ice Bridge 続報

 Curved Air / SkyのFrancis Monkmanが1978年にリリースした曲「The Dawn of Man(またはThe Dawn of an Era)」からの盗作が疑われ、一部で非難されていたYesの新曲。

私もそれを指摘するツイートを見た後、両曲を繰り返し聴き比べていました。

該当する全てはキーボード・パートで、歌メロやギター、ベース、ドラムには影響が見られません。

ELP / Touch and Goに似ているとも指摘のあるイントロのファンファーレ、Aメロのバックで流れるシークエンス、ブリッジやキメの幾つかのリフ、少なくとも5つ以上のパーツはThe Dawn of Manによって既に奏でられていました。このまま、盗作の疑惑と非難の的となったままアルバムリリースになってしまったら嫌だなぁと危惧していたのですが、昨夜(日本時間で7/27の夜)Geoff Downesの公式ツイッターで説明がありました。

要約すると、The Ice Bridgeの作者のひとりであるGeoffが、Francisとチャットでこの問題について話し、友好的かつ円満に解決した。作曲のクレジットにはFrancisも付け加えられる。との事でした。良かった良かった。

Geoffはこの曲を作るにあたり、テレビ番組、CM、商業施設用音楽などを手掛けていた職業作曲家時代のライブラリ素材を掘り起こしていたそうです。そしてそこに、誤って件の曲が紛れていたと。自作曲の山の中にあったので勘違いしてしまった、という事でしょうか。Francisの曲はテレビ番組「Invension:UFO」のテーマだったし、リリース元のBruton Musicはそういった音源を扱うレーベルだそうなので、辻褄は合いますね。

リリースから4日間、もやもやが晴れて本当に良かったです。これで安心して10月のアルバムを楽しみに待つことができます!


2016年7月5日火曜日

2016年11月 Yes 来日決定!

噂は立っていましたが2年ぶり、Chris Squireが亡くなって初めての来日公演が決定しました。前回も11月末でしたから、本当に丸々2年ぶりの来日ですね。

(特に海外の)Yesファンの間では、Jon Andersonお得意の謀反ユニットARW、(Anderson Rabin Wakeman)が話題を呼んでいますが、私はChrisに託されたこちらのYesを断然支持したいと思います。誰がトリビュート・バンドじゃい!
かといって、もしもARWが来日となれば、それはそれで行ってしまいますが(笑)。

今回のセットリストは、欧米ツアーの「海洋〜」からのA&D面と「DRAMA」...だったらなお良かったのですが、「DRAMA」が外れて「Yessongs」からの抜粋ときたもんです。
「海洋」は個人的にはアルバム・ジャケット(LP)のアートワーク以外は失敗作だと思っているので、コンセプトを主導したJon Andersonがいるならまだしも、このラインナップでは演る意味がないように感じます(当時、創作の片腕だったSteve Howeはいますけど...)。特に「神の啓示」のイントロ、読経のようなポエトリー・リーディングの部分、あれはAndersonじゃないと、と思うワケです。
そして他がYessongsからとなると、いつものクラシックセットじゃん、と。
「DRAMA」と「Yessongs」だったら最高なんですけどね。

今回の参戦は、ちょっと静観しようかなという気分でいます。
追加公演が出たら、最終日だけ狙ってみたいと思います。

やっぱり仙台から毎回、東京に帰って宿泊して、というライヴの見方は、経済的にも精神的にもキツいです。それ自体はとても楽しいのですが、仙台にいる嫁さんや義父母の目が...

家とローンがなければ、今すぐにでも北国を出たいと切に感じている今日この頃です( ´Д⊂ヽ