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2023年5月20日土曜日

Yes新作 Mirror to the Skyを聴いた

アルバムのリードトラック2曲「Cut from the Stars」「All Connected」を事前に何度か聴いて、イメージはできていました。2021年の前作「The Quest」に近い、なんとなく良いんだけど、全体的に印象が薄い、そしてSteve Howeのソロ作に近い、良くも悪くもアットホームな感じ、とでも言うんでしょうか…。

前作のリードトラック「The Ice Bridge」は、イントロがELPぽいとか、作者の一人Geoff Downesが、ライブラリ上の手違いで他者の作品を誤用してしまったとかあったけれど、非常にフックの強い、期待感のある1曲ではありました。

その所為で、アルバムを通して聴いた時に、肩透かしを食らってしまったというのはありましたが。

本作はそんな事もなく「ああ、こんな感じね」と、変な意味で『安心できる』仕上がりです。
トピックとしては…
・前作に続き、オーケストラ導入
・プロデュースも前作に続きSteve Howe
・リード・トラック2曲はBilly SherwoodとJDの共作(All~ではSteveもクレジット)
・Geoffは作曲に殆ど関わらず、演奏面でも目立たず
・作詞・作曲にJon Davison大活躍
・CDの2枚目に相当する3曲含め、Steve Howe作の割合高い

個人的にはあまり歓迎できない要素も少なくありません。これまで現ラインナップに批判的なSNSコメント(ほぼ海外)に対して否定的だった私ですが、今さら彼らの主張が分かる気がしてきました。ジョーーーーン(A)、カームバーック!!!

Billyと新メンバーJay Schellenについては好意的に見られますが、Steveがイニシアティブを持ち続ける事と、JDにクリエイティブ面を任せる比率が高い事、Geoffが働かない事が、今のYesをつまらなくしている大きな要素に思えてなりません。

Steveは1970年代黄金期のYesにおいて、重要なソングライターだった筈なんですが、作曲にプロデュースにと活躍している「The Quest」「Mirror to the Sky」の2作に関しては、微妙な気持ちにさせられます。彼のソロ作を聴いているような、ちょっと欠伸が出そうな感じ。
やはりJon Andersonという相棒がいたからこそ、当時はSteveの素材がより輝いたのかもしれませんね。
最近読んだJon Andersonのインタビューで、記者が「私にとって、あなたとSteveはProg界のジャガー&リチャーズ。コンビ復活を望みます」と懇願するように伝えていたのが心に残っています。

70年代もギター弾きまくりだったけれど、同時にベースもキーボードもドラムも同じくらい主張が強かったから、出来上がった音楽がスリリングだったのだと気付かされます。今のメンバーじゃキャリア差もあり、そうはできんのでしょう。

通算23作目のスタジオ・アルバムという事ですが、数えてみると合わない…。
ABWH、スタジオ作とライヴ混合のKeys to Ascension 1&2、Buggles Yesを再現するために理不尽に追い出されたOliver Wakemanが編纂したミニ・アルバム「From a Page」なんかも含めるのかな??

1. Yes(1969)
2 Time and a Word(1970)
3.The Yes Album(1971)
4. Fragile(1971)
5.Close to the Edge(1972)
6.Tales from Topographic Oceans(1973)
7. Relayer(1974)
8. Going for the One(1977)
9. Tormato(1978)
10. Drama(1980)
11. 90125(1983)
12. Big Generator(1987)
13. Union(1991)
14. Talk(1994)
15. Open Your Eyes(1997)
16. The Ladder(1999)
17. Magnification(2001)
18. Fly from Here(2011)
19. Heaven and Earth(2014)
20. The Quest(2021)
21. Mirror to the Sky(2023)

23作目とするための候補…(何だコリャ・笑)
・Anderson Bruford Wakeman Howe(1989)
・Keys to Ascension 1(1996)
・Keys to Ascension 2(1997)
・keystudio(2001)
・Fly From Here - Return Trip(2018)
・From a Page(2019)

2023年1月4日水曜日

ABWH ~ An Evening of Yes Music Plus, Deluxe Box Setリリースに寄せて

高額に加え、タイミング的にも大枚叩いてまで入手するモチベーションではないので、一旦は見送りますが、実に魅力的なボックスです…。

過去のエントリーで書いたと思いますが、私の人生初のライヴ体験は1988年春、代々木体育館で行われたYes~Big Generator Tourでした。
1982年にASIAを経由して知ったYes。その当時Yesは解散状態だったので、ロックを知ったばかりの中学生の憧れは盲目的に強くなりました。そして程なくすると、ドラマティックに再結成。斬新な変身を遂げての大ブレイクを、思春期真っ只中の感性で目の当たりにしてきたので、正に待望のライヴ体験だったのですが、ハイティーンになっていた1988年頃には、既に往年のYesと当時のYesのギャップを知ってしまった後。いわゆる90125Yes(当時はまだ、そんなあだ名はありませんでした)もリアルタイムで大いに楽しんでいましたが、「だが、コレじゃない」感が芽生えていたのも事実です。

「Close to the Edge」直後の全盛期、滞在時にJon&Steveで「Tales from Topographic Oceans」の構想を練ったという1973年の初来日時、私はまだ3歳の幼児。それから実に15年もの時を隔てた2度目の来日公演が、私にとっては人生初のライヴ体験となったわけですが、残念な事にかなり記憶が薄れてしまっています。

その初めての生Yesメモリーを完膚なきまでに上書きしたのが、Anderson Bruford Wakeman Howe(ABWH)の結成と、1990年春の来日公演でした。
人生2度目となったこのライヴ体験、東京と横浜の全公演に足を運び、忘れようもないほどに記憶に刻み込みました。

90125Yesは、アルバムのリリース間隔こそ長かったものの、珍しくメンバーチェンジもせずに80年代を駆け抜けたので、このラインナップは盤石で、黄金期メンバーの再集結は見果てぬ夢に終わるのだろうと、当時の私は諦めていました。
そして私が、Yesに興味を持つきっかけとなったギター・ヒーローSteve Howeが、ASIA、GTRの商業的成功とは裏腹に、バンドのリレーションシップに失敗しているのを繰り返し見てきて、いたたまれない気持ちでいた80年代終盤。正に起死回生の一発に思えたのが、ABWHでした。

なんといっても全盛期メンバーの4/5が揃った事、特に「Close to the Edge」をレコードに残したものの、一度もライヴ演奏せずに去ったBill Brufordが戻ってきたのは、私のような若輩ファンにとっても奇跡の出来事に思えました。
Billは正に字義通りのProgressiveを体現するドラマーでしたので、彼が連れてきたTony Levinのサポート含め『ただの懐メロで終わるワケがない』という期待感もありました。

当時はまだ、Chris Squireの重要性は今ほど言われておらず、時には「目立たない」「静かな」メンバーとして紹介するメディアもあるほどでした。故に私も、彼の不在を殆ど気にしていませんでした。なんなら「生意気な若造」Trevor Rabinを擁護してYesの看板を譲らない巨漢のヒール、くらいにしか思っていませんでした(ただBig Generatorでの私のお気に入りは、彼のベースが大活躍するI'm Runningでした)。
今は勿論、ChrisがYesで果たした役割の重要性(音楽、運営どちらも)と当時の正当性、Trevorの並外れた才能も理解しています。

ABWHの既発ライヴ作品「An Evening of Yes Music Plus」は、既知のとおり病欠したTony Levinに替わって、Billのもう一人の盟友Jeff Berlinが参加しています。そのため、フルタイムでサポートしていたTony参加音源の方がレアになってしまっています。
指に長い「とんがりコーン」を装着したり、チャップマン・スティックを駆使した先進的な演奏には、本当に痺れましたし、シモンズのデジタル・ドラム要塞を縦横無尽に操るBillとのコンビネーションも最高でした。

本作の国内盤は、NHKホールでのオンボード音源も収録との事。Tonyの演奏が聴けます!
でも、高いんだよなあ…。

余談ですが、未だにBill Brufordの日本語表記には揺れがありますね。
私も世代的には「ブラッフォード/ブラフォード」で覚えたクチですが、自伝が出版された辺りからは意識して「ブルーフォード/ブルフォード」と記述するようにしています。過去のエントリーではブレの名残があって「ブルッフォード」とか書いちゃったりしていますが(笑)

2022年11月18日金曜日

ASIA in ASIA ~ Live at the Budokan Arena Tokyo Japan 1983



 このライヴは私にとっては因縁深い事件でした。1983年、中二の秋、人生で初めて行きたいと思い、行けなかったライヴ。

後に出たビデオは高額で買えず(ほぼ同じ年代に出たYes / 9012Liveを選んでしまいました!どちらも¥10,000以上!学生には厳しい価格設定でした)、レーザーディスクは再生ハードさえ買えず、高校に上がってから懐かしのレンタルビデオで1度だけ観て、そこから悠久の時を経て、最近になってやっとYoutubeで再会できたライヴ。

これに行けなかった事で、私の初コンサートはこの5年後のYes ~ Big Generator Tourとなり、その後もYesの来日には何度も足を運びましたが、ASIAは結局ただの一度も観ないまま、John Wettonが他界してしまいました。この時だけスポット参加したGreg Lakeも既に鬼籍入り...

そして約40年の時を経て、ようやく手にしたこのボックスセット、我が家のBlu-rayレコーダーが故障したままなので、画も音もレストアされたという映像はまだ観る事ができていません…

しかし、です‼

MTVが総力を結集し世界中に衛星生中継した12/7、その前日の12/6のオンボード音源が2枚のCDとして収められ、その音質、演奏ともに最高すぎて、それだけで既に『刻への浪漫(敢えて中二っぽい当て字・笑)』を味わう事となりました。

封入特典も豪華で、当時の若々しいメンバーの写真を使ったポストカード、コンサートチケットやバックステージパス、パンフレットの復刻版まで入っています。くどい繰り返しですが、行けなかった私としては最高のパッケージです。

今のように情報が簡単に入らなかった当時は、音楽雑誌だけが頼りでした。そこには評論家の好みであったり、故意か不意か誘導的な感情の文体であったり、実際に体験できなかった読者は、それを読んで想像するしかありませんでした。

来日直前に参加オファーのあったGreg Lakeの後評判は、あまり良いものではなかったと記憶しています。ですが、このCD2枚を聴いて、良くやった!!と拍手を送りたくなりました。John Wettonよりキーが低いために、楽曲そのものを彼の声域に合わせなければならなかったそうですが、脂が乗っていた当時の演奏を聴いていると、歌もアンサンブルも素晴らしいし、テンポも良いし、下げたキーはさほど気になりません。

映像に収められなかった2度目のアンコール「Cutting it Fine」は、確かにギターイントロが終わった直後に不自然な転調が見られますが、「ん?」と感じたのはそこくらいです。
この2度目のアンコールのセトリは、長らく謎に包まれていたそうです。既出&今回レストアされた映像作品は、当時の生放送に合わせた状態のまま最初のアンコールSole Survivorで終了します。
2ndアンコール最終曲は、アルバムから洩れたのが不思議なほどの名曲Daylight。Cutting it Fineからの流れも感涙モノです。

Greg LakeはELPも含め、遂に一度も観ることなく他界してしまいました。
John WettonはAsiaで観ることは叶いませんでしたが、1996年のSteve Hackett and Friendsで観られましたし、その際はアコースティック・アレンジのHeat of the Momentを聴く事ができました。
存命メンバーの中ではCarl Palmerだけまだ一度も観ていません。
Steve爺さんはABWH以降、老いの進捗を確認するように何度も観てきました(私は彼の長男Dylanと同い年ですが、共に老いたと言うべきか。笑)。
GeoffはYesで3度ほど。Drama, Fly from Hereはとても好きな作品ですが、彼はやはりAsiaの印象なのでYesで観ても有り難みが...笑。

まだ聴き込んだと言えるほどではありませんが、一番驚いたのは、メロトロンが意外なほどふんだんに使われていた事です。Geoffのキーボードといえばシンセが第一に思い浮かび、加えてオルガンとピアノを印象的に使うという認識でした。
Steveのギターも太く、速く、よく言われるモタりも、まだ「タメ」としてカッコよく感じられる程度で、なかなか聴けないくらいロックしているのがイイ!
Carlの走るドラムは疾走感を持ってグイグイ牽引していくのがとても気持ち良い!
そしてGreg!前任者のJohnとはKing Crimsonの先輩後輩の関係でもあり、歌唱、ベースプレイ、存在感は全く遜色ありません。歌詞を覚えきれず、プロンプターで表示させていたそうですが、そんな情報要った?っていうくらい朗々と歌い、自分のものにしているように聴こえます!プロですね〜!

rrrrRock no Youi, Iidesuka⁉︎ (Are you ready to Rock’n’Roll!?)

2021年10月3日日曜日

Yes / The Quest

なんだかんだ言って、めちゃめちゃ楽しみにしていた7年ぶりの新譜です。

10/1 に日付が変わった0時、直ぐにApple Musicにアクセス。4時近くまでリピートして聴き込みました。そして3日経つ今も、時間があれば聴いています。とはいえ、まだ印象が固まりません。スルメ・タイプの作品かもしれません。

オリジナル・メンバーは3人生存していますが、現ラインナップには含まれません。

残念には思いますが、個人的には現メンバーに不満はありません。

Jon Anderson復帰を望む声は絶えませんが、いろいろ無理なのでしょう。

Bill Bruford & Tony Kayeも、本人たちの状況や意思としても無しです。

ギターのSteve Howeがプロデュース。Geoff DownesやBilly Sherwoodという、プロデュース業に長けたメンバーがいる中、遂に最長老がYes作品の総監督を務めました。

全11曲中、Steve作が6曲(Jon Davisonとの共作1曲含む)。そのためか、彼のギターはかなり楽しめます。時としてライヴで感じるようなヒヤヒヤもなく、名演を聴けます。エレクトリックは70年代中期を想起させるような緊張感や抒情性がありますし、幾つもあるSteveのトレードマーク「ペダルスティール」「ポルトガル・ギター」なども随所で印象的に響き渡っています。

アコースティック・ギターも冴えていて、澄んだ音色が響くさまは、かつてのWindom Hill作品のようです。

通して聴いた印象として、先行配信の「The ice Bridge」は、結果として他人の曲を転用したモノ、という事もあって異質だったという事。エッジが効いていて、キーボードも大活躍で、リードトラックとして否が応にも「Yes復活(何度目のコピーだ)」の期待感を煽る佳曲でした。

ですが、配信第二弾「Dare  to Know」で「ん?」となり、アルバム全体としては、そちら側の印象が強い、とても穏やかな作品として世に出ました。

そういう意味では前作「Heaven and Earth」の延長線上にあると言えるかもしれません。また、Billyがいる影響か(良い意味です)「Open Your Eyes」「The Ladder」、はたまた彼のバンドWorld Tradeとの近似性を感じる箇所も少しあります(The Western Edgeが顕著です)。

個人的に印象的だった曲を下記に綴ります。

- The Ice Bridge: 

作者問題も含め、過去のエントリーで書きましたので、今回は別の切り口で。

Cパート「Interaction」で繰り広げられるギターとキーボードのインタープレイは、本作一番の聴きどころではないでしょうか。

うろ覚えですが、2003年頃のライヴで繰り広げられた「South Side of the Sky」での、Steve & Rickの応酬を思い出します。

また、曲の骨組となったキーボード・パートは丸っきりFrancis Monkman / The Dawn of an Eraですが、JonDが作った歌メロは完全なオリジナリティがあり、そのクオリティも歌唱も最高です。

- Leave Well Alone: 

琴のような弦楽器のイントロはGTR「Here I Wait」を思い出します。

SteveはASIA「Heat of The Moment」で琴を実際に使用していたので、この曲でも使っているのかもしれません。

SteveとJonDが低いテンションで、ダーク&トラディショナルなメロディをユニゾンで歌うさまはミステリアス(笑)。

そしてCパートの"Wheels"は、Würm (Starship Trooper) 再び!という曲でした。もっとスロウ&メロウ、そして三拍子のワルツですが、3コードのギターインスト・パートという点で「Würm pt.2」と言ってもよさそうです。

- Mystery Tour: 

曲名の通りThe Beatlesに言及しており、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの名や彼らの曲名だけでなく、ブライアン・エプスタイン、ニール・アスピノール、マル・エヴァンズといった重鎮関係者の名前まで出てきて、音の方では「Strawberry Fields Forever」でお馴染みのメロトロン(フルート音)も出てきます。

この曲と次曲「Damaged World(Steve 作/歌)」を聴いたとき、単なるイメージなのですが、かつてのスーパー・グループ「Traveling Wilburys」が頭に浮かびました。気の抜けた軽快さというか、Yesもそういう季節に来ているんだなぁ、というか…。2曲ともSteveの曲です。

Yesは初期メンバーは特に、The Beatlesの影響下にありました。1stアルバムでは「Every Little Thing」を、後のライヴでは「I'm Down」のカヴァーが演奏されてきました。Alan WhiteはJhon Lennonのソロ作で仕事をしています。Steveも過去のインタビューで、何度もThe Beatlesに言及していたのを読んだ記憶があります。

CD2は3曲全てSteve作(1曲はJonDとの共作)という情報があったので、リリース前はいつものSteveのギター・ソロ的な「おまけ」かなと思っていましたが、蓋を開けてみると本作では意外にもギター・インスト曲がなく、全曲がバンド・アンサンブルでした。

SteveとJonDが、単独、共作合わせてそれぞれ6曲提供。GeoffとBillyはJonDとの共作でそれぞれ2曲だけ。この2人は作曲面/演奏面ともに、もっとしゃしゃり出ても良かったんじゃないか、とも思います。Alan Whiteもそうです。在籍歴は誰よりも長いのだから…。

ドラムに関しては、Alanはどれだけ叩けているのか、Jay Schellenとの割合など気になるところですが、正直分かりません。


総評としては、Steveのカラーが強く、彼のソロ・アルバムをYesとして仕上げた、という印象が少なからずあります。ただ、Yesは過去にもそういった経緯の作品があるグループなので、それでも良いのかもしれません。

新バンドだった筈の「Cinema」を、Yes再結成に寄り切った「90125」。

Billyと作っていたChrisのソロ・プロジェクトを転用した「Open Your Eyes」。

Bugglesの積年の恨みを晴らした(笑)「Fly From Here」(および ~Return Trip)。

今回はコロナ禍で、英米に分かれているメンバーの行き来も難しい中、作品として昇華させたSteveが頑張ったという事ですね!


良作と思いつつも、いまだ私なりの評価が定まらない本作をしっかり受け止めるために、過去作も少し聴き直しています。

・Heaven and Earth (2014)

・Tormato (1978)

雰囲気が似ているこの2作品を知り直す事で、何か見えるような気がしていますが、久しぶりにTormatoを引っ張り出したら、過去に見えなかった部分が色々見えてきて、改めてTormatoの良さを知る、という結果になりました(笑)。

2021年8月10日火曜日

Yes / From a Page

このミニアルバムは、すっかり見落としていました。リリースは2019年です。

2021年7月に配信された新曲「The Ice Bridge」をAppleMusicで探していた際、ジャケット・アートの色合いが似ていたために間違えて聴いたのが、きっかけでした。

2011年のFly From Hereに際し、原曲に携わったDramaラインナップに近づけるため、Geoff Downesが復帰。そのあおりを喰らって弾き出されてしまったRickの息子Oliver Wakeman(公式にはそんなアナウンスはありませんでしたが、どう考えてもそうとしか…)。

Oliver在籍時には残念ながらスタジオ・アルバムの発表はありませんでしたが、2015年のChris逝去に端を発し、お蔵入りだったChris存命時のスタジオ音源をOliverが仕上げてくれたようです。

2010年のFly From Hereセッションで作られた4曲という事ですが、殆どがOliver作曲だったからなのか、アルバムには収録されませんでした。しかしいずれも、実にYesらしい佳曲が並んでいます。何よりOliverの演奏がお父さん譲りで、それだけで「Yesだなぁ」と感じられます。ミニモーグやオルガンの音色も良いですし、リリカルなピアノが本当に素敵です。

作詞作曲の実績も残せず、声色のためだけに利用された感の強いBeoit Davidも、良い仕事をしています。「The Gift of Love」では作曲者の一人としてクレジットもされています。Jon Andersonにそっくりな声を出したかと思えば、少し太いオリジナリティのある歌声も披露しています。特にOliverが2013年にGordon Giltrapと共同名義でリリースしたアルバムにも収めた「From the Turn of a Card」での歌声は、JonAともFly From Hereで披露された声とも違い、Oliverのピアノとのデュエットがとても美しい名曲に仕上がっています。

僅か4曲のミニアルバムですが(抱き合わせのLive from Lyonは置いときます)、Yes本来の魅力のひとつ、「歌モノ」としても三声ハーモニー、リードとバッキングの掛け合いなどが随所に見られ、基本要素をしっかり取り込んでいるのが解ります。

Steveのギターも、スタジオでは良い意味で個性を発揮してYesらしさを演出していますし、Chrisのベースは控えめな印象ですが、バッキング・ヴォーカルの存在感でYes印をしっかり刻んでいます。

ここまで書いて、もはやYesに求める事はProgressではないなと、改めて思いました。ライヴだったら(期待できませんが)70年代のようなドライヴ感を、スタジオだったら良い楽曲、良いアレンジ、そしてYesらしさを再現して欲しいと思います。私が思うYesらしさとは、各楽器の高い演奏技術、ジャンルを超えた音楽性、美しいメロディと厚いハーモニー、トリッキーなのに自然に聴かせてしまう構成力、そして意味不明な歌詞(笑)

そういう意味でOliverは、(もしかしたら古参メンバーよりも)Yesらしさとは何かを理解した上で、この4曲を仕上げたのだろうな、というのがよく解る作品です。

因みに在籍していてもいなくても、よく絡んでくるBilly Sherwoodは本作では何処にもクレジットされていないようですが、そこはかとなく彼の香りを感じるのは私だけでしょうか…

2020年8月12日水曜日

Aviary / Soaring(35年を経て判明したラジオのあの曲)

若かりし頃にFMで聴いて以来、実に35年を経て判明した、私にとっては奇跡の1曲です。

以下は既に記憶が曖昧な部分が多々あり、Youtubeにアップされていたラジオ番組の音源を頼りに記憶と合致した内容が多く含まれます。

1985年、洋楽を聴き始めて数年が経ち、十代も半ばに差し掛かった頃、MTVでは飽き足らず昔の音楽にハマり始めた私は、難波弘之さん、渋谷陽一さんがDJを務めるラジオ番組をよくエアチェックしていました。

特に当時の私的ロックスター、ASIAやYES(90125)がきっかけで、プログレに引っ張られていました。

1985年5月放送のFM東京「マツダ・ザ・ミュージック(プログレ今昔物語)」を、いつものようにエアチェック。テープが勿体ないのでトークは録らず、音楽のスタート/エンドをタイミングよくボタン操作するのがルーティンになっていました。

アーティスト名、曲名はその場でメモったり、新聞やFM雑誌で確認したりしてインデックス・カードに書き込んでいたので、聞き間違いや聞き落としも頻発していました(笑)

そのカセットテープは転居を繰り返す中で処分してしまい、音源を失って既に長いのですが、上に貼ったYoutubeを見つけて鮮明に思い出しました。

松原みき / 真夏のゲーム

Jethro Tull / Bouree

ジェラルド / 今宵使者は来たりぬ

ELP / Abandon's bolero

Aviary / Soaring

Kansas / How My Soul Cries Out

U.K. / Thirty Years

ジェスロ・タル、ELP、U.K.辺りはその後 自力で該当する音源を見つけましたが、この放送回で一番に感動した曲がつい先日まで分からず終いで、心の隅に引っ掛かりつつも殆ど諦めていました。

曲前のトークがELP(パウエル)再結成の話からFocus再結成に展開した事もあって、そこだけ私の中でおかしな結び付けができてしまい、長い事Focusの曲と思い込み、彼らのアルバムを虱潰しに聴いた事もありました。

曲名もトークからのうろ覚えで「ソーリー(sorry)」と聞き間違えていたので、そりゃ見つかる筈もありません(笑)

よくよく考えればFocusとは似ても似つかない音楽性なんですが、泣きのギターはもしやヤン・アッカーマン?、ヨーデルの超絶ヴォーカルだから後期はポップに寄せてファルセットコーラスも?でも音は全然似てないよなぁ、と迷いながらもFocusはFocusで楽しんだ時期がありました。

この6月末から、両親の介護で実家帰省した事がきっかけで、もはや家財などは跡形もない元自室で過ごしているうちに、このラジオ番組の事を思い出しました。

過去にも何度か検索はしていたのですが、ヒットした事が一度もなく。

今回、実家でたまたまyoutubeでサーチしてみたら、まさかの番組音源がまるっとアップされているではありませんか!

しかもyoutube上の情報を見るとアップされたのは、ほんの一カ月前!

35年を要したとは言え、なんというタイミングでしょう!

やっと分かったAviaryというバンド。この35年間、私の音楽人生に全くカスりもしませんでした(笑)

1979年に公式アルバムを1枚だけリリースして散った薄幸のバンド。

LAメタル前夜ともいうべきブロンド・ロン毛にヒョウ柄ジャケット、革パンというダサいルックス。ジャケット・アートもジャンボ旅客機の両翼が猛禽類の翼という超絶ダサ・ジャケ(笑)。

なんですが!

音楽性の高さはなかなかではないでしょうか!

当時から今に至るまで、Queen,Sparks, 10ccなどが引き合いに出されていたようですが、ただの模倣には終わらずオリジナリティもしっかりあります。

売れなかったのは、音楽性と相容れないヴィジュアル/イメージ戦略の失敗としか思えません。

当時15歳の私が感銘を受けた曲「Soaring」は、長年得られなかった情報にノスタルジーなどのバイアスがかかって美化されただけかも、という杞憂がありましたが全くそんな事はなく、当時と同じ感動がありました。

戦争のパイロット哀歌かつ、緊張が続いた冷戦にもサラッと警鐘を鳴らす社会派の歌詞。泣きのメロディ、重厚かつ美しいファルセット・コーラスのサビ、歌いまくるギター・ソロ、ピアノやストリングスの抒情が詰め込まれた、正に隠れた名曲でした。

80年前後に興ったポンプ・ロックに含まれるらしいですが、そのあたりはよく分かりません。とにかく唯一のオリジナル・アルバムは再評価されて然るべきクオリティがあります。

この放送回のゲスト、故 松原みきさんが紹介した2曲は本当に私の琴線に触れまくりで、もう一曲の「ELP / 奈落のボレロ(ロンドン・フィル競演バージョン)」はスタジオ・オリジナル・バージョンよりも、他の数あるELP名曲群よりも、一番聴いたかもしれません。

それにしても長年探し求めていた曲を、それをオンエアしたラジオ番組丸ごと聴けてしまった奇跡。一気に当時にタイム・スリップした気分を味わえたひと時でした。

2016年7月24日日曜日

YES ft. Peter Gabriel - Watcher Of The Skies


【2021年追記:こちらはタンジェントというバンドのFake! 悪ふざけと判明しました💦】 

Yes & Peter Gabriel!!しかも1970年のWatcher Of The Skies!!
いやー、こんなコラボ・セッションがあったなんて知りませんでした!
Musical Brick という、Genesisのメンバーや時期ごとのコスプレをLegoで再現(!)するという、ステキすぎる集団がいるのですが、そのFacebookに投稿されたYoutube音源で初めて知りました!!
おそらく、Yes, Genesisの両バンドを知り尽くしていらっしゃる方からすると、「何を今更」なんでしょうけれど、私はどちらのバンドも30年以上好きなのに、恥ずかしながら知りませんでした。

Musical Brickの投稿と、Youtubeにアップされていたテキストから読み解くと、幾つかの貴重な情報を得られました。

1)フランスのTVでのスタジオ・ライヴ。

2)ジェネシスの学校の先輩で、1stのプロデュースをしたジョナサン・キングの計らい。

3)1970年のセッション!
 ゆえにWatcher Of The  Skiesが収録される「Foxtrot」より2年も早く出来ていた。
 Genesisは「Trespass」前後? 
 Yesは「Time And A Word」直前くらい?

5)Yesはオリジナル・メンバー期!
終演後のアナウンスで「Jon Anderson, Chris Squire, Peter Banks, Tony Kaye and Bill Bruford〜」と紹介されていますね〜。

音は正に1st〜2nd時のYesそのものです。
クリスのベースがぐいぐい前に出て、トニーのオルガンがキラッと光る。そして、黄金期に比べると、稚拙な勿体づけがちょっと目立つ(笑)。
Jon Andersonは紹介されているけど、何にもしていないような気がします。
もしかしたら、軽くコーラスでも付けているのでしょうか...

意外すぎる取り合わせに、本当に驚きました。
歴史に埋もれた奇跡って、思わぬところで知ることになるんですね!




2016年7月5日火曜日

2016年11月 Yes 来日決定!

噂は立っていましたが2年ぶり、Chris Squireが亡くなって初めての来日公演が決定しました。前回も11月末でしたから、本当に丸々2年ぶりの来日ですね。

(特に海外の)Yesファンの間では、Jon Andersonお得意の謀反ユニットARW、(Anderson Rabin Wakeman)が話題を呼んでいますが、私はChrisに託されたこちらのYesを断然支持したいと思います。誰がトリビュート・バンドじゃい!
かといって、もしもARWが来日となれば、それはそれで行ってしまいますが(笑)。

今回のセットリストは、欧米ツアーの「海洋〜」からのA&D面と「DRAMA」...だったらなお良かったのですが、「DRAMA」が外れて「Yessongs」からの抜粋ときたもんです。
「海洋」は個人的にはアルバム・ジャケット(LP)のアートワーク以外は失敗作だと思っているので、コンセプトを主導したJon Andersonがいるならまだしも、このラインナップでは演る意味がないように感じます(当時、創作の片腕だったSteve Howeはいますけど...)。特に「神の啓示」のイントロ、読経のようなポエトリー・リーディングの部分、あれはAndersonじゃないと、と思うワケです。
そして他がYessongsからとなると、いつものクラシックセットじゃん、と。
「DRAMA」と「Yessongs」だったら最高なんですけどね。

今回の参戦は、ちょっと静観しようかなという気分でいます。
追加公演が出たら、最終日だけ狙ってみたいと思います。

やっぱり仙台から毎回、東京に帰って宿泊して、というライヴの見方は、経済的にも精神的にもキツいです。それ自体はとても楽しいのですが、仙台にいる嫁さんや義父母の目が...

家とローンがなければ、今すぐにでも北国を出たいと切に感じている今日この頃です( ´Д⊂ヽ

2016年6月27日月曜日

Christopher Russell Squire Passed away, One year ago...



6月27日はChris Squireの命日。早いもので一周忌です。
Yesのベーシストにしてリーダー。リッケンバッカーの硬質で、そして高音域を多用したベースの音色で、楽曲をぐいぐい牽引し、バッキング・ヴォーカルでもJon Andersonとの絶妙のハーモニーを聴かせてくれる、Yesというバンドにとっては欠かせない魅力を持った人でした。

90年代くらいまではYes一筋、結成から一貫してYes関連以外の活動はありませんでした。
1975年のソロ・アルバムもメンバー全員がリリースする企画モノでしたし、「DRAMA」解散後のXYZ(JimmyPageとのプロジェクト)も、Cinema(90125Yes再結成の前身)も、それ自体として具現化はしませんでした。
あ、同時期にAlan Whiteとの共同名義でクリスマス・シングル「Run With the Fox」を出しましたね。あの曲は私の中では、一番のクリスマス・ソングです。


以前も書かせて頂きましたが、ChrisのYesでの最後の作品「Heaven and Earth」は、残念ながら非常に残念な出来なので、今夜はSteve Hackettとのコラボ「Squackett」を聴こうと思います。

それにしてもSteve Hackettは優しい人だなぁ。
最近ではKeith Emersonの死にもすぐにコメントを出し、トリビュート・コンサートにも出演していました。
John Wettonが病床にいれば、快方に向かった際にわざわざ自分のFBで報告してくれました。
今日もChrisの一周忌であることをFBでお知らせしていました。

ChrisはYes一筋でありながらも、同世代、後輩たち多くに慕われ、Steve Hackettはそんな人たちに惜しみなく敬意を払い、友情を築く。また、後世代との共演や起用も積極的に行動し続けています。
Squackettの絶たれてしまった将来、楽しみでした。


2016年6月14日火曜日

ARW...? 頑張れAlan White & Steve Howe組


Anderson Rabin Wakeman...
既にそんなに新しくない情報ですが、触れないわけにはいきません。
これは本家Yesとはどういう関係性を持っているんでしょう?
Roger Deanがイラストを描いているということは、Yes公認なのかな?
まぁ、そんなことはなさそうな気がしますが...

1989年のABWHは当時、とても素晴らしい再結成に思えましたが、結局は短命に終わり、Yes本体もその後ごちゃごちゃした挙句に90125のラインナップに戻るという、身も蓋もない収束を見せ、私個人としてはとてもがっかりした記憶があります。

その際、次作では90125のメンバーにRick Wakemanも加わるという情報がありましたが、結局それは実現せずに「TALK」が完成。
当時はTrevor RabinとRick Wakemanが意気投合して...という話でしたが、スケジュールだか契約上の問題だかで、かつてないラインナップでの始動は夢と消えました。

今のYesが一部でトリビュート・バンドと呼ばれてしまうようになったのは、やはりChris Squireの死が大きいと思います。Jon Andersonは確かにVoice of Yesと呼ばれていますし、それに異論は全くありませんが、Chrisの存命中はJonの不在で評判が悪かろうが、彼さえいればそれでYesだったのですから。

今のYesでChrisの遺志を継いでいるのはAlan Whiteでしょう。Steve HoweはYesというバンドには愛があるのでしょうが、長年の仲間である筈のこのリズム隊との友情は、正直あまり感じられませんし、気を許しているのはおそらくGeoff Downesくらいなんじゃないでしょうか。

AlanはChrisにYesを続けるように言われたという趣旨の言葉を、Chrisの死後にコメントしていました。彼は今の状況に苦しんでいるような気がします。
彼はどちらかといえば現バンド・メイトのSteve HoweよりTrever Rabinに、友情やChrisへの想いという部分でもシンパシーを感じている筈です。
でもChrisの遺志を尊重し「このYes」を存続させなければならない。

正直なところ、Chris Squireへの想いという点でYesを再編するなら、今回の新しいARWに、Alan White、Billy Sherwoodが加わるのが、妥当な気がします。

本来であれば、現YesにJon Anderson, Rick Wakemanがそのまま再加入さえすれば、それでスッキリしますが、Steve Howeの存在が実に厄介な気がします。
Alanと一緒にYesをやりながら、直接じゃないにしても「Bill Brufordの方が良い」と言ったり、Chris逝去時のコメントも少しの友情も感じられないようなアッサリ感がモロに出ていたり。
これは単なる余談ですが、Keith Emersonが亡くなった際にも、同世代、影響を受けた後の世代かかわらず多くのコメントが寄せられましたが、過去に一瞬にしろバンドを組もうとした相手に何のコメントも出さなかったSteve...

私はSteveのファンとして、最近とみに感じられるこのような人格や(勿論、表に出ていることが全てとは思いませんが)、Yesにしろ脱退したASIAにしろ、バンドメイトとの関係性に、不安と落胆を禁じえません。

Yesのマネージャーは今もブライアン・レーンなのか知りませんが、Steveはかなり前からメンバーとの関係性よりも、マネジメントの言いなりのような気がします。(DRAMA解散からASIA, GTR, ABWH, UNIONまでの流れも含め)

Chris最後の作品となった「Heaven & Earth」は正直、退屈極まりない作品でした。
ARWという強力な刺客がYesをどう引っ掻き回してくれるのか、Chrisへの想いを強く持つJon AndersonとTrever Rabin, そしてRick Wakemanの作る音楽、またはライヴ...私自身はそれもまた複雑な思いではありますが、楽しみにしたいと思います。

私の本心は、トリビュート・バンドと揶揄される本家には、Jon Andersonお得意のお家騒動に惑わされずに頑張って欲しいですし、可能であれば「Heaven & Earth」という駄作を忘れさせるくらいの新作を創って欲しいです。
AlanとSteveが結束を強められることを、心から願います。

2015年12月14日月曜日

20151210 King Crimson Live at Shibuya Bunkamura Orchard Hall

開演前のひととき
過去に複数回来日しているKing Crimsonですが、私は今回が初参戦です!
少し前にロバート・フリップの引退宣言がありましたが、その原因となったレコード会社との係争がクリアになったことで活動を再開したと聞き、今回こそは行かねば!と思い立ったのです。
Tシャツは迷いましたが...
個人的な最高作「太陽と戦慄」と、上の2枚に。(Redもカッコよかった!)
1stや今回の「ひとつ目」は、着て歩く勇気がありませんでした(笑)
しかし最近の新作といえば2014年のライヴを収録したミニ・アルバム(未聴)や、本体とはちょっと違うKing Crimson Projekct(未聴)、もう少し遡っても21st Century Schizoid Band(未聴)など、あまり興味をそそられる事がなかったので、今回の再結成がどんなものになるのか全く予想ができませんでした。
事前情報も敢えてシャットアウトしていました。

日中はなんとかもっていた天気が、ホールに到着する頃には雨となり、今住んでいる仙台とそれほど変わらない寒さに。
開場まで呑気に、吹き抜けから見える下のフロアのクリスマス・イルミネーションをボケーっと見ていました。

今回はトリプル・ドラムという編成。もはやこれすらも「変則」という範疇に入らないのでは?と思わせるのはクリムゾンならでは。

メンバーは以下のラインナップ。
ロバート・フリップ(G)
ジャッコ・ジャクスジク(G/Vo)
メル・コリンズ(Wind Instrument)
トニー・レビン(B/Chapman Stick)
パット・マステロット(Drums/Perc)
ギャビン・ハリソン(Drums)
ビル・リーフリン(Drums/Mellotron/key)

クリムゾンのライヴのイメージといえば「古い曲はやらない(やっても『太陽と戦慄pt.2』『Red』くらい)」「即興が多い(特に今回はスタジオ新作がないので、勝手に想像していました)」と思っていましたが...

延々と白玉和音の弦楽のような環境音楽が、癒し空間を演出する開演前のホール内。
時間を少し過ぎて暗転すると、フリップによるアナウンス(テープ?)が流れ、静かにメンバーが登場。
客席からの拍手も実に穏やかで、これまで観てきたどのライヴ(ミュージカルやダンス・パフォーマンスなども含め)とも比較しようのない独特の雰囲気でした。

いきなり!そしてしっとりと「ポセイドンを追って(×のめざめ)」のラスト曲「Peace / An End」でスタート。
デビュー作「クリムゾン・キングの宮殿」から70年代の最終作「Red」までの名曲がふんだんに盛り込まれ、新曲「Meltdown」やドラム・アンサンブル、「Vroom」「Level Five」などの"比較的"新しい曲も丁度良いくらいに挟まれた、正に最高のコンサートでした!

クリムゾンというと、常に真の意味でのProgressを自らに課し、そしてファンも求めてきた、非常に稀有な存在だと認識しています。
その分、1980年代からの後追い世代である私としては、リアルタイムの「ディシプリン」期や'90年代のメタル・クリムゾン期は「普通に好きだし進化を続ける姿も素晴らしい。でも'70年代の名作群ほどではない」と、なんとなくではありますが、思っていたのだと思います。

今回のライヴは例えるなら、ABWHや近年のスティーヴ・ハケットのように、(特に日本では同時代に聴けた人が少ない)往年の名曲を「懐メロ」としてではなく、ダイナミックに再生してくれた素晴らしい機会だったと思います。

ABWHでは、誰もライヴでは聴けなかったビル・ブルーフォードがいる「危機」の楽曲が、クリムゾン組の超タイトなリズム隊によって蘇りました。

スティーヴ・ハケットでは、彼以外は全て次世代のミュージシャンで構成されていながらも、忠実かつラウドに、若々しいサウンドで70'sジェネシスの名曲たちが再現されました。

2015のクリムゾンは、オリジナル・メンバーはフリップのみ(まぁごく初期からそうでしたが)ではありましたが、ブルーフォードより古いメル・コリンズの復帰もありましたし、安定のトニー・レヴィン、パット・マステロットも健在です。
21st Century Schizoid Bandでフロントマンを務めた、元Level 42のジャッコ・ジャクスジクは、グレッグ・レイクやボズ・バレル、ジョン・ウェットンらが唄った曲もしっかりと聴かせてくれる実力者でした。時にトリプルドラムの音量・音圧にヴォーカルが消されてしまう場面もあって、そこはちょっと可哀想でしたが...。
彼のギターはエイドリアン・ブリューほどの存在感はないものの、この選曲だからこそしっくりくるソツのないプレイで、フリップおじいちゃんもけっこう多くの場面で彼に任せてゆったりしているようでした。

メロトロンやシンセは、中央のドラムを陣取っていたビル・リーフリン。
70年代の映像ではフリップやデイヴィッド・クロスがメロトロンを弾いていましたが、今回のフリップは本当に監督というか、クリムゾンを名乗るための存在というか、要所要所では圧倒的な存在感を聴かせながらも、観ていてほのぼのさせる存在でした(笑)。

セットリストは日によって異なるようで、クラシックナンバーをやってもそこは流石クリムゾンと言えますね!
私個人としては「Starless」で本編が終演となり、アンコールで「Larks'~ pt.1」から始まった流れが最高に痺れました。「pt.2」「Red」が聴けなかったのはちょっと残念な気もしますが、「アイランズ」からの「The Letters」「Sailor's Tale」も聴けたのでプラマイ→大プラスです!
時間とお金があればもっと観たいと思わせる、本当に素晴らしいライヴでした。


Setlist(DGMオフィシャルサイトより)

Peace
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) I
Meltdown
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) II
Level Five
Epitaph
Banshee Legs Bell Hassle
One More Red Nightmare
Vrooom
Easy Money
Hell Hounds Of Krim
Suitable Grounds For The Blues
The Letters
Sailor’s Tale
In The Court of The Crimson King
Starless

- Encore -
Larks’ Tongues In Aspic Part 1
21st Century Schizoid Man
本編終演後。通して超シンプルなライティングでしたが、
この時だけステージは真っ赤っか(Starless)。
この辺りから、声を出さずにはいられなくなりました(曲間だけです 笑)
アンコールも終わって...
ロバート・フリップのとてもジェントルな振舞いに、新たな感動が!

2015年9月12日土曜日

ASIA・ALPHA



私が初めて買った音楽専門誌「ミュージック・ライフ」1983年7月号(だったかな?)。
PILが来日して、ジョン・ライドンが表紙の号に、エイジアのセカンド・アルバム「ALPHA」リリース直前、スティーヴ・ハウ インタビューが掲載されていました。

すでに手許にないので記憶でのお話になってしまいますが、このインタビューは興味深かったのでけっこう鮮明に覚えています。

インタビューアは、イエス時代にはメイン・コンポーザーのひとりとして活躍したスティーヴが、エイジアではあまり作曲していないことに触れました。
それに対して彼は、自身をデラニー&ボニー時代のクラプトンになぞらえ、エイジアではいちギタリストとして気楽に楽しんでいる、という趣旨の返答をしていました。

そこまでは良かったのですが、インタビューアは次に余計な一言を・・・。
「ジョン・ウェットンはあなたの曲を『エイジアには向いていない』と言っていましたが?」
これにはスティーヴもムッとした様子で反論。「自作曲の多くは自分の中で暖めているから、殆どオープンにしていない」という感じで返していました。

あの当時、直後に起きたお家騒動は、このインタビューが引き鉄になったんじゃないか??・・・と、中学生だった私は邪推したのでした。

今は、ALPHA製作時にウェットン/ダウンズの曲がゴリ推しされたのは、ファーストからカットしたヒット曲に倣ってゲフィン・レコードが指示したことや、リリース直後のゴタゴタの原因の一つとしてジョン・ウェットンが酷いアル中状態だったことなど、崩壊に向かういくつかの要因が明らかになっていますが、スティーヴとジョンの確執のきっかけは、あのインタビューにあり!と、私は今も密かに思っています。
確か英米の他誌記事転載ではなく、ミュージックライフ独自のインタビューだったと記憶しています。

ALPHAは私の洋学体験の初期、アルバムを買うのも大変な子供時代に手にした1枚なので思い入れはあります。当時はレコードプレイヤーを持っていなかったためカセットテープで購入、それが幸いして「Daylight」(カセットのみのボートラで、EP「Don't Cry」c/w 曲)も聴けました。

今となってはファーストよりも聴く機会はぐっと少ないですが、たまに通しで流すと懐かしい記憶が蘇ってきます。
極上のポップソング「Don't Cry」で幕を開けるこの作品、ファーストとの比較は今も当時も避けられず、その観点ではどうしても見劣りしてしまいますが、ただそれだけで切り捨てるのは勿体ない好盤です。
惜しむらくはプロダクション。キーボードの音に埋め尽くされたバッキングは当時「音の壁」などと評されましたが、全体にリバーブがかかっている印象で各楽器の分離が悪く、演奏の魅力が埋没してしまっているのが本当に勿体ない。
スティーヴ・ハウとカール・パーマーの、良い意味でハチャメチャなエゴイズムが抑えられてしまっているのも残念。
全ての楽曲はウェットン/ダウンズで、多少一本調子な印象も否めませんが、それでも多くの美メロを楽しめます。
個人的にはヒット・シングルを含むA面よりも、地味ながら憂いに満ちた名曲が並ぶB面に魅力を感じます(当時はA面がα、B面がβと名付けられていました)。

部活のない夏休みの午後、自室で仰向けになって窓から顔を出し、このアルバムを聴きながら遥か上空に光る旅客機に思いを馳せた思春期を思い出す、そんなクッサイ1枚です。

2015年9月5日土曜日

Steve Hackett - The Cinema Show/Aisle of Plenty (4.sep.2015 Stockholm)


スティーヴ・ハケット 2015のツアーは、昨年までの「Genesis Revisited」以上に見どころ満載のようですね。
「Acolyte to Wolflight with Genesis Revisited」と銘打たれた通り、ソロワークとジェネシス・クラシックスが山盛りです。
ソロからは「Spectral Mornings」「Ace of Wands」「Clocks」などが披露され、ジェネシス・ナンバーも昨年までの選曲から一新されています。
「Get'em Out by Friday」まで演奏されてるなんて!

さて、最新ライヴ映像で見つけた「Cinema Show」ですが、スティーヴのソロワークで取り上げられるとは、正直、信じられませんでした。
映像は昨日の9月4日、ストックホルムでの演奏。

以前のエントリーでも書きましたが、この曲は確かに、屈指の名曲のひとつに数えられると思います。私も大好きな曲です。
だけどかなり露骨にトニー・バンクスを中心とした、後期トリオ用の曲だと思うのです。
ピーターも居た5人時代の曲にもかかわらず、です。

トリック・オブ・ザ・テイル時代のライヴ映像(下に貼っておきます)でも、後半のトニーのソロパートは、フィル・コリンズとマイク・ラザフォードを従えたトリオの演奏になっています。マイクはギターのカッティングからベースラインまで独り占めです(笑)。
途中のブレイクからスポットを浴びるのは、正規メンバーのスティーヴ...ではなく!、助っ人ヒーローのビル・ブルーフォード。
このパートではスティーヴの姿はどこにも見当たりません。

まぁでも、最新の映像ではスティーヴが楽しそうにマイクのギター・パートを演っているし、ロジャー・キングも若干危ないけれどトニーをトレースしているし、何よりオーディエンスが喜んでいるので、良いのかな。
コーダはジェネシスのライヴバージョンと違って、スタジオ・アルバム「月影の騎士」の流れを踏襲しています。

今回のツアーで日本に来てくれたら最高なんだけどなぁ!
ソロワークの集大成と、前回と異なるジェネシスナンバーを生で聴きたいです。
2012年の暮れからずっとツアーしていますが、その間に追加・変更で演奏された楽曲の数々が魅力的すぎて、たまらんです。

2015年6月29日月曜日

Forever, Chris Squire !!

1960年代末から活躍するブリティッシュ・バンド YesのベーシストChris Squireが、昨晩亡くなりました。先月末に白血病である事、これから闘病生活に入る事がアナウンスされたばかりでした。

Yesの現編成では唯一のオリジナル・メンバー。
リズム・キープだけに埋没する事なく、時には長いソロパートも受け持つ、ブリブリに主張するメロディックなベースライン。地声が高音のヴォーカリストJon Andersonとハーモニーを取るために、時にはJonのさらに高域をファルセットで唄う個性的な声。
Yesらしさを決定する音と声、といっても過言ではない唯一無二の存在でした。

また、半世紀近くにおよぶバンド活動の中で、めまぐるしく敢行されたメンバーチェンジの多くは「Chrisの電話」によって行われていたと言われるほど、リーダーシップのある人物でした。

大きな損失、喪失感です。。。
RIP...











2015年5月20日水曜日

Chris Squire to undergo treatment for Leukemia



Yes現在のラインナップでは唯一のオリジナル・メンバー、Chris Squireが白血病を患ってしまったようです。

急性骨髄白血病の中でも珍しいケースの赤白血病という病種らしく、現在の住まいがある米アリゾナ州フェニックスで治療に専念するそうです。

Yesはビリー・シャーウッドを代役に立て、この後のTOTOとのツアーおよび豪華客船ツアーの「Cruise to the Edge」も敢行する模様。

このニュースを目にした時、ものすごい衝撃を受けました。
やはりなんだかんだ言ってもクリス(と願わくはジョン・アンダーソン)が居てのYes。
仮にスティーヴとアランが牽引していく将来を想像しても、安心感がありません。

無事に病魔を克服できる事を、願うばかりです...

2015年5月1日金曜日

Steve Hackett / Wolflight

2012年末から始まった「Genesis Revisited II」に伴うツアーに次ぐツアー。そして英国伝統の劇場、ハマースミスとロイアル・アルバート・ホールでのライヴ作品2種。
BBCのドキュメンタリー番組のために、Genesis往年の5人が再集結した事も話題となった。その番組で彼の発言は、極端に編集されて不当な扱いを受けていたようだが...

ともあれ、この数年の彼の活動には目を見張るものがある。もともと多作家の部類に入ると思うが、ただ創って出すだけではなく、作品のクオリティも高いレベルを維持し続ける、稀有な存在だと思う。

私は最近の数作は、彼のオフィシャル・サイトオンラインストアから直接購入している。国内盤では流通しない、または流通時期が遅いBDで視聴できるソフトがあるからだ。
おまけ要素として、ジャケットに直筆サインが入っていることもあり(添付画像を参照ください)、これはファンとして単純に嬉しい(笑)

彼の持ち味と言えるゴシック調ダークネス、サーカス音楽やスラップスティックにも似た若干の恐怖が含まれるコメディタッチは本作でもベースに流れているが、そういった「影」の部分は、曲によってはスッキリ晴れ渡り、爽快さすら感じる(M7. Loving Seaなど)。

彼の音楽が素晴らしいのは、ギタリストとしての技量をさりげなく、しかししっかりと聴かせながら、楽曲の完成度にプライオリティが置かれている事ではないだろうか。
それでもピーター、フィル、マイクのようなセールス的成功に恵まれないのは、大衆性が足りないからか...?
その音楽性はあくまでもプログッレシヴ・ロックの範疇にあって、それはマニアックなコミュニティ(と言わざるを得ない)に向けられ続けているからなのかもしれない。ただ、それは全く悪い事ではないと思うし、その妥協のない中で突き詰めていく完成度の高さにこそ、彼の音楽の魅力があるようにも思う。
でも、ファンとしてはもうちょっと売れて欲しいし、英国であれだけ「Revisited」企画が好評だったのに、BBCドキュメンタリーでのあの扱いはヒドいと思うのだ!(笑)

本作のハイライトのひとつは、最終曲(Bonus Track)「Midnight Sun」。
この曲はアイスランドのTodmobileというバンドとのコラボレーションで、エモーショナルなメロディ、コード進行が胸を打つ。Todmobile自体は1980年代後期から活動していて、10枚のアルバムをリリースしているベテランだ。いつものハケット節とは趣の異なる、今どきのオルタナ風味もちょっと効いた、新たな魅力に溢れたコラボだと思う。
ちなみにこのTodmobile、2013年にはジョン・アンダーソンともジョイント・ライヴを行なっており、Yes「Awaken」を見事に再現している。その映像はYoutubeで観る事ができる。

スティーヴはハンガリーのワールド・ジャズ・バンド「Djabe」とも活動を共にしたり、若い世代とも積極的に交流している。そのような姿勢が、同世代のアーティストにあまり感じられない現役感を彼が持ち続けている、大きな要素なのかもしれない。

2015年は「Acolyte to Wolflight with Genesis Revisited」と銘打たれたツアーがスケジュールされている。タイトルから読むと彼のソロ活動の集大成に加えてGenesisナンバーも演奏されるという、豪華な内容が予想できる。
まだ日本ツアーのスケジュールは出ていないが、2013年に続く来日が実現する事を望むばかりだ。

オフィシャルサイトで購入。CD+BD
FBで本人がサイン入れてる画像を見て決めました(笑)
インナースリーブの一部。曲ごとのイメージ・フォトグラフィ

インナースリーブの一部



2015年4月28日火曜日

Spectral Mornings 2015

Steve Hackett '79年、ギター・インストの名曲「Spectral Mornings」に歌詞とヴォーカルが付いちゃいました!
これがブリティッシュ・トラッドの香りがして、意外と素晴らしい!
CDは昨日発売、iTunes Storeでも配信中です。

収益はParkinson's UKの支援資金となります。

2014年12月24日水曜日

Pink Floyd / Endless River


Pink Floyd最終章。
2005年のLive 8での再集結以降、バンドとロジャー・ウォーターズが少しずつ距離を縮め、互いのソロ活動にゲスト参加するなどロジャーを含めての再結成の期待がありましたが、それは叶いませんでした。
今回の作品はリチャード・ライト存命時、「Division Bell」セッションのアウトテイクを素材とした、彼に捧げたアルバム。すなわちロジャーとの関係が最悪だった時期のマテリアルな訳ですから、ロジャーは必然的に参加しないという事になったのでしょう。

そういえばリチャードが亡くなった当時、ロジャーのWebサイトは無数のキャンドルが灯された壁紙だけとなり、しばらく何の情報も発信されませんでした。彼のリチャードへの哀悼の意の深さ、友情、もしかしたら過去の仕打ちに対する後悔の念など、さまざまな想いがそのような表現として表れたのかもしれないと当時は感じ、私は何の情報もないロジャーのサイトを何度も訪れたものです。
それでも、今回は彼の参加叶わず、残念です。

彼らの存在があったからこそ産まれた「プログレッシヴ・ロック」というジャンルではありますが、私はPink Floydを(良い意味で)プログレとは考えていません。
とてつもなく巨大な存在。音響にもとことん拘った、超上質なポップ・ミュージック。社会の矛盾を鋭い切り口で暴き出す批評性を備え、それが風化しない普遍性を保ち続ける稀有な存在。それがPink Floydなのだと思っています。

バンドの精神はシド・バレットからロジャー・ウォーターズへ引継がれた中で、当然変化していきました。アシッドでサイケデリックな方向から、風刺的な批評性と時に攻撃力の高いコンセプトが、その時代時代の社会を抉り取っていきました。
そのようなグループの精神はロジャーのものだったため、彼が脱退した後の2作品には音楽以外の部分でPink Floydである必然性が感じられなかったのも事実です。

しかし最近になってデイヴ・ギルモアとロジャー・ウォーターズは和解して、ロジャーのThe Wall再現ライヴでもデイヴが客演していますし、ニック・メイスンは元々どちらとも仲良くやっていました。
それを考えると、今出すなら3人でやって欲しかったという想いは拭いきれません。その場合は「対」のアウトテイクなんて使わずに、3人で新しく作って欲しかったですし、リチャードの追悼という事なら、もっと早くにやって欲しかったとも思います。
Live 8での4人の再集結は2005年の事でした。そしてシドは2006年、リチャードは2008年に亡くなっています。

昨年亡くなった、ヒプノシスのストーム・ソーガソンの事まで考えての事だとすれば、それはもう仕方ないですが...

タイミングとしては??と思うところ多々ありますが、それでも本作は最終作と銘打たれている以上、冷静な評価は捨てても良いような気がします。感傷に浸っても良いと思います。リチャード、デイヴ、ニックのインストゥルメンタルに身を任せ、唯一歌付きの最終曲「Louder Than Words」で泣けば良いのです。


このリリースを機に「狂気 / The Dark Side of the Moon」が全米13位にまで再浮上したと聞きました。

真に偉大なPink Floyd、さようなら。。。