ラベル King Crimson の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル King Crimson の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年1月6日金曜日

リアルタイムと後追い~前編(結果1983年が多い)

ちょっとした思い付きから「聴いてきた音楽を回顧してみよう」となったのですが、MVを貼り付けていたらめちゃめちゃ長くなってしまいました(笑)
自分の音楽遍歴を遡る旅、中編、後編と続ける…気持ちでいます。
初回の前編は、最初のリアルタイムにこだわってみました。
良かったらお付き合いください…。


最近ことさら、音楽は同時代性込みで楽しむのも大事だな、と思うようになりました。 
自分自身の人生イベントと紐づいて、よりインパクトのある記憶になったり、その時々の社会情勢、そのカウンターとしての曲(歌詞)であったり、リアルタイムで体験した方が、より正しく価値を理解できるのかな、という思いが強くなってきました。

私の音楽遍歴は、その多くが後追いでした。同時代のものも含めさまざま聴いてきた結果、1970年代の、特に英国プログレッシヴ・ロックが自分には一番合っている、しっくり自然に聴ける音楽だと分かりました。
ですが、後追いの音楽は、発表当時の空気感までは知る術がありません。こればかりはどうしようもありません。

逆に、洋楽を聴き始めた1980年代前半と、意識して同時代性を求めた1990年代の音楽は、その当時の自分自身のイベントや、音楽シーンの動向、リアタイならではの空気感を記憶に刻み込めたのかな、と感じます。

また、最初に聴いた当時は自分自身がまだ幼くて、その良さが解らなかった曲も、年齢を重ねて違う捉え方ができるようになったり、自分の感性の変化を感じ取れたりします。


The Police / Every Breath You Take(1983)
ポリスは少し前の1980年に知った好きなグループでしたが、1983年に大ヒットしたこの曲は嫌いでした。しかし今iPhoneのプレイリストには、しっかり入っています。
Sting作の曲を、より印象深くするAndy Summersのギター。速くても遅くても、めちゃくちゃ指を広げないと弾けない、厳しい運指のアルペジオは、ポリスのトレードマークのひとつです。
雰囲気だけで聴いていると切ないラヴソングのようですが、歌詞を読み込むとヤベー歌だと分かります(笑)

Genesis / Mama(1983)
この曲も当時は「暗くて気持ち悪い」という、身も蓋もない第一印象。リアルタイムでは、トリオのGenesisに殆ど魅力を感ませんでした。同時期のもう一つのヒット曲「That's All」を先に耳にしましたが、当時はとてもシックな音楽に聞こえて、13歳の私には響きませんでした。それから10年近く経過して、Peter Gabriel期の1970年代前半を知った時に、やっと「トリオになっても流石Genesis!」と思うように。
この曲のライヴで、下から顔を照らす「ハハッ!ハッ!アァァオゥ」のパートは、「The Musical Box(1971)」のセルフ・オマージュ(Peter Gabrielへの)だと思っています。

Culture Club / Church of the Poison Mind(1983)
大ヒットアルバム「Colour by Numbers」からの1stシングル。2ndシングル「カーマは気まぐれ」に完全に食われた印象ですが、私はこちらの方が好きでした。
最近気づいたのですが、このタイトル…「The Court of the Crimson King」と韻を踏んでませんかね?? CourtとChurch, of the, CrimsonとPoison, KingとMind。
曲調は全く違えど、「In the~♫」というサビの唄い出しまで同じです
それとは別に、この時期の彼らはモータウン・サウンドをリスペクトしていて楽しいです。


Kaja goo goo / Big Apple(1983)
一番人気だったヴォーカルのLimahlが脱退し、ベースのNick Beggsがフロントに立って作った2ndアルバムからの先行シングル。Nickはいまや、英Prog界きってのベースプレイヤーのひとりとなっています。
最近知ったのですが、彼はお家騒動の後でマネージャーに「チャップマン・スティックを買ってくれたらバンドを続けてフロントマンもやる」と駄々をこねたそう(笑)。1984年の次曲「Lion's Mouth」MVでは、スティックを演奏する姿が確認できますし、エレドラも導入していて、まるでディシプリン・クリムゾンのようです。
当然そんな知識もなくエピソードも知らなかった私は、単純にポップスとして楽しんでいました。


David Bowie / Let's Dance(1983)
初めて知ったのがこの曲だったので、Bowieはこういうオトナな音楽の人なんだ、と思っていました。のちにプログレと同じくらい過去の作品群にハマったのですが、この時期の作品にはリアルタイムで聴いた思い入れがあります。
部活の先輩(女の子)にアルバムをダビングしてもらいました。


Yes / Owner of a Lonely Heart(1983)
この曲を最初に聴いた時は、本当に衝撃でした。後にあらゆるポップミュージックで大流行したオケヒット音もさることながら、様々なサンプリング音が随所に鏤められていて、全てが異質で初めて耳にする音ばかりでした。
プロデュースを務めた前作ヴォーカルのTrevor Horn, 当時新加入のTrevor Rabin(g&vo)なくしては、この復活劇は無かったでしょう。産業ロックと揶揄されることも少なくないこの時期ですが、Trevor Hornの出自(Buggles~ラジオスターの悲劇)から考えても、ニューウェイヴの系譜で捉えた方がしっくりきます。
(産業ロックと括られたバンド群とは明らかに異質です)
そしてChris Squireのベースがめちゃくちゃ存在感を示していて、それが彼らをYesたらしめています。

STYX / Mr. Roboto(1983)
シアトリカルなコンセプト作をいくつか作っている彼らの、ちょっと可笑しな作品。
ロック・ミュージックが禁止された近未来の管理社会で、ロックの復権を目論むレジスタンスの物語。
アルバム原題「Kilroy Was Here」は、WW2時に米兵の間で流行した落書きに由来します。
劇中の重要キャラMr. Robotoは日本製の設定なので、敢えて日本語の発音ぽく、RobotではなくRobotoにしています。
ミュージカルのような作風のため、各メンバーをヒーロー側とヒール側にキャスティングした結果、バンド内の人間関係が最悪になったとか(笑)
ジャケット及びPVやライヴにも登場するミスター・ロボットの顔が、中学の同級生アシ〇イ君にそっくりで、今見ても笑ってしまいます(笑)

Vandenberg / Friday Night(1983)
MUSIC LIFEの新作レビューで星4.5とか付いてて、思わず買ってしまった作品。
もうず~っと聴いていませんでしたが、今回記憶を遡った時にパッと出てきました。当時は本当に節操なく聴いていたんだなぁ、と懐かしくなりました。
オランダのハードロック・バンドで、アガるギターリフと明るいコーラスワークが楽しい1曲ですが、「金曜の夜はロック、女にワイン」なんて、いま唄ったら世界的に怒られますね!

Night Ranger / Don't Tell Me You Love Me(1982)
この作品はほんのちょっと、1~2年だけ後追いで聴きました。
シブがき隊を好きでもなんでもなかったのですが、彼らの「Zokkon命」でパクられていると知り、野次馬根性で興味を持った1曲(笑)。当時は家にラジカセしかなかったので、カセットテープでアルバムを買うのが殆どでしたが、何故か本作はレコードで持っています。リアタイでは次作(1983年)からの「(You Can Still)Rock in America」「Sister Christian」の方が、より多く耳に入ってきたのを覚えていますが、その後ハードロックやLAメタルには全く興味が湧かなかった私でした。

The Cars / You Might Think(1984)
カーズはこの少し前の「Shake It Up(1981)」から知っていましたが、80年代を代表するのはやはりこの曲でしょう。凝りに凝って、しかもおバカなMVは当時かなり話題になりました。教室で友達同士でこのアルバム「Heartbeat City」を貸し回ししたのを思い出します。

Peter Gabriel / Sledge Hummer(1986)
彼もDavid Bowieと同様に、大人ポップとして最初に認識したので、古典とシュールを行き来する世界観、奇妙奇天烈な仮装ショウを繰り広げた1970年代のGenesis期を知った時は、本当に衝撃でした。そしてこの曲を含むアルバム「So」より前のソロワークでは、ニューウェイヴとワールドミュージックを融合した、カルトヒーロー的な立ち位置にいた事も後に知り、この頃のイメージとのギャップには驚かされるばかりでした。ただよくよく考えると、クレイアニメ手法で精緻に作り込んだこのビデオも、そんな彼の片鱗を見せつけた、大いなるヒントではあったんですよね。

King Crimson / Three of a Perfect Pair(1984)
一番最初にリアタイで聴いたクリムゾンは、80年代の活動のラスト・アルバムでした。
当時はラジオで「クリムゾン・キングの宮殿」「エピタフ」辺りをチラッと聴いた程度だったので、『伝説のバンド』という認識を除いては、殆ど先入観なく耳にする事ができました。
今では誤った通説だった事が明かされていますが、当時は「デビューアルバムがビートルズのアビーロードを全英No.1から蹴落とした」という口上が、クリムゾン紹介の際には必ず付いて回っていました(笑)
全ての楽器演奏が無機的で幾何学的で、「80年代のある側面を象徴する音」というイメージが、未だにあります。ディシプリン3部作は、ミニマルなデザインのジャケット・アートも印象的でした。Yesもそれに倣ったのか分かりませんが、80年代の2作品(90125とBig Generator)は似たようなジャケット・アートでした。
当時の情報源MUSIC LIFE誌のレビューでは星3.5程度だったと記憶していますが、寸評内に「太陽と戦慄パート3を収録」とあり、とても興味をそそられたのを覚えています。その時私は「太陽と戦慄」とやらを全くもって知らなかったのですが、「なんだか凄いもの」という事は感じ取り、ほどなくして遡っていく事となりました。


自発的に洋楽を聴き始めた頃のビデオクリップを何気なく調べていたら、1枚の80’sコンピレーションができるほど貼り付けてしまいました(笑)。
そして無意識だったのですが、1983年の作品がなんと多い事か。

洋楽を聴き始めたのはその少し前、1980年(10歳)なのですが、その頃はまだFMのTop10番組をなんとなく聴く程度の「洋楽赤ちゃん」でした。
1982年には「ASIA~時へのロマン」「TOTO~IV聖なる剣」という作品を入手していましたが、まだそれ以上の探求心は芽生えていなかったのかもしれません。小遣いでアルバムを買うのも大変でしたし、MTV番組もラジオ番組も、まだあまり知らない時期でした。それに当時はこの2枚をずっと繰り返し聴いていても、全く飽きませんでした。

中編(1990年代)に続く…

2015年12月14日月曜日

20151210 King Crimson Live at Shibuya Bunkamura Orchard Hall

開演前のひととき
過去に複数回来日しているKing Crimsonですが、私は今回が初参戦です!
少し前にロバート・フリップの引退宣言がありましたが、その原因となったレコード会社との係争がクリアになったことで活動を再開したと聞き、今回こそは行かねば!と思い立ったのです。
Tシャツは迷いましたが...
個人的な最高作「太陽と戦慄」と、上の2枚に。(Redもカッコよかった!)
1stや今回の「ひとつ目」は、着て歩く勇気がありませんでした(笑)
しかし最近の新作といえば2014年のライヴを収録したミニ・アルバム(未聴)や、本体とはちょっと違うKing Crimson Projekct(未聴)、もう少し遡っても21st Century Schizoid Band(未聴)など、あまり興味をそそられる事がなかったので、今回の再結成がどんなものになるのか全く予想ができませんでした。
事前情報も敢えてシャットアウトしていました。

日中はなんとかもっていた天気が、ホールに到着する頃には雨となり、今住んでいる仙台とそれほど変わらない寒さに。
開場まで呑気に、吹き抜けから見える下のフロアのクリスマス・イルミネーションをボケーっと見ていました。

今回はトリプル・ドラムという編成。もはやこれすらも「変則」という範疇に入らないのでは?と思わせるのはクリムゾンならでは。

メンバーは以下のラインナップ。
ロバート・フリップ(G)
ジャッコ・ジャクスジク(G/Vo)
メル・コリンズ(Wind Instrument)
トニー・レビン(B/Chapman Stick)
パット・マステロット(Drums/Perc)
ギャビン・ハリソン(Drums)
ビル・リーフリン(Drums/Mellotron/key)

クリムゾンのライヴのイメージといえば「古い曲はやらない(やっても『太陽と戦慄pt.2』『Red』くらい)」「即興が多い(特に今回はスタジオ新作がないので、勝手に想像していました)」と思っていましたが...

延々と白玉和音の弦楽のような環境音楽が、癒し空間を演出する開演前のホール内。
時間を少し過ぎて暗転すると、フリップによるアナウンス(テープ?)が流れ、静かにメンバーが登場。
客席からの拍手も実に穏やかで、これまで観てきたどのライヴ(ミュージカルやダンス・パフォーマンスなども含め)とも比較しようのない独特の雰囲気でした。

いきなり!そしてしっとりと「ポセイドンを追って(×のめざめ)」のラスト曲「Peace / An End」でスタート。
デビュー作「クリムゾン・キングの宮殿」から70年代の最終作「Red」までの名曲がふんだんに盛り込まれ、新曲「Meltdown」やドラム・アンサンブル、「Vroom」「Level Five」などの"比較的"新しい曲も丁度良いくらいに挟まれた、正に最高のコンサートでした!

クリムゾンというと、常に真の意味でのProgressを自らに課し、そしてファンも求めてきた、非常に稀有な存在だと認識しています。
その分、1980年代からの後追い世代である私としては、リアルタイムの「ディシプリン」期や'90年代のメタル・クリムゾン期は「普通に好きだし進化を続ける姿も素晴らしい。でも'70年代の名作群ほどではない」と、なんとなくではありますが、思っていたのだと思います。

今回のライヴは例えるなら、ABWHや近年のスティーヴ・ハケットのように、(特に日本では同時代に聴けた人が少ない)往年の名曲を「懐メロ」としてではなく、ダイナミックに再生してくれた素晴らしい機会だったと思います。

ABWHでは、誰もライヴでは聴けなかったビル・ブルーフォードがいる「危機」の楽曲が、クリムゾン組の超タイトなリズム隊によって蘇りました。

スティーヴ・ハケットでは、彼以外は全て次世代のミュージシャンで構成されていながらも、忠実かつラウドに、若々しいサウンドで70'sジェネシスの名曲たちが再現されました。

2015のクリムゾンは、オリジナル・メンバーはフリップのみ(まぁごく初期からそうでしたが)ではありましたが、ブルーフォードより古いメル・コリンズの復帰もありましたし、安定のトニー・レヴィン、パット・マステロットも健在です。
21st Century Schizoid Bandでフロントマンを務めた、元Level 42のジャッコ・ジャクスジクは、グレッグ・レイクやボズ・バレル、ジョン・ウェットンらが唄った曲もしっかりと聴かせてくれる実力者でした。時にトリプルドラムの音量・音圧にヴォーカルが消されてしまう場面もあって、そこはちょっと可哀想でしたが...。
彼のギターはエイドリアン・ブリューほどの存在感はないものの、この選曲だからこそしっくりくるソツのないプレイで、フリップおじいちゃんもけっこう多くの場面で彼に任せてゆったりしているようでした。

メロトロンやシンセは、中央のドラムを陣取っていたビル・リーフリン。
70年代の映像ではフリップやデイヴィッド・クロスがメロトロンを弾いていましたが、今回のフリップは本当に監督というか、クリムゾンを名乗るための存在というか、要所要所では圧倒的な存在感を聴かせながらも、観ていてほのぼのさせる存在でした(笑)。

セットリストは日によって異なるようで、クラシックナンバーをやってもそこは流石クリムゾンと言えますね!
私個人としては「Starless」で本編が終演となり、アンコールで「Larks'~ pt.1」から始まった流れが最高に痺れました。「pt.2」「Red」が聴けなかったのはちょっと残念な気もしますが、「アイランズ」からの「The Letters」「Sailor's Tale」も聴けたのでプラマイ→大プラスです!
時間とお金があればもっと観たいと思わせる、本当に素晴らしいライヴでした。


Setlist(DGMオフィシャルサイトより)

Peace
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) I
Meltdown
Radical Action (To Unseat The Hold Of Monkey Mind) II
Level Five
Epitaph
Banshee Legs Bell Hassle
One More Red Nightmare
Vrooom
Easy Money
Hell Hounds Of Krim
Suitable Grounds For The Blues
The Letters
Sailor’s Tale
In The Court of The Crimson King
Starless

- Encore -
Larks’ Tongues In Aspic Part 1
21st Century Schizoid Man
本編終演後。通して超シンプルなライティングでしたが、
この時だけステージは真っ赤っか(Starless)。
この辺りから、声を出さずにはいられなくなりました(曲間だけです 笑)
アンコールも終わって...
ロバート・フリップのとてもジェントルな振舞いに、新たな感動が!

2015年8月8日土曜日

2015.12月のKing Crimson来日公演に行きます。

12/21追記:12/10の来日公演レビューはこちらにアップしました。


本日、チケットぴあより抽選結果のメールが来ました。
キング・クリムゾンのライヴは、今回の参加が初めてです。
これまでに行ける機会はあったと思いますが、縁がなかったんでしょうね。

ビル・ブルーフォードは現役引退、エイドリアン・ブリューも脱退となった最新のラインナップ、しかし'70年代主要メンバーのひとりであるメル・コリンズの復帰、21st Century Bandのフロント・マンを務め、スティーヴ・ハケットのGenesis Revisitedでは「Entangled」でヴォーカルを披露していたジャッコ・ジャクスジクの参加に強く興味を引かれました。
そして何より、引退表明をしていた御大ロバート・フリップの現役復帰を見届けないわけにはいきません。

クリムゾンはコアなファンが多い印象があります。また、'90年代以降の彼ら(というかフリップ)の商法自体が、マニア心をくすぐるやり方にシフトしているようにも思います。
私はオリジナル・アルバムは一応揃えていますが、コレクターズ・アイテムの類は持っていません。ライヴ盤も「Earthbound」「USA」のみ。
最近のオリジナル・アルバムの特別版には、多少そそられたりもしましたが...

ジミヘンに「(心臓が近い方の)左手で握手してくれ」と言わしめたフリップとその仲間たち。既に当時のラインナップとは全く異なりますが、そんな伝説を持つ彼らに会いに行こうと思います。