まだ舞台がどんなものかも解らず、ビル・ウィーランが創り出す音楽にただただ魅せられていた十数年。
初めて生の舞台を観たのは、2008年の仙台サンプラザ・ホールでの公演。
事前にビデオを観ていて、大規模な楽団の演奏を期待していただけに、小編成バンドと録音という構成には少しガッカリしたが、舞台の主役はダンサー達だと思い直した瞬間に、そちらに集中し大きな感動を得られた。
あれから7年ぶりの来日公演、20周年という節目の大規模ワールド・ツアー。
今回は残念ながら仙台公演の予定が出なかったので、強行スケジュールでシアター・オーブでの3公演を観劇することにした。
日程は4/9, 10, 14を選択。チケット、交通費、宿泊代金含む出費や、その他スケジュールで間に帰宅しなければならなかったため、交通は高速バスで2往復。数年ぶりに乗った高速バスは本当にキツかった...
4/9:昼の公演。プリンシパルは黒髪ショートの小柄な女性と、ブロンドでバランスの取れた体格、観客を乗せるのがとても上手い男性。昼の公演でも満席、客の年齢層は全体的に高いがとても盛り上がった公演となった。
4/10:夜の公演。プリンシパルが代わり、ブロンドで長髪の女性と、黒髪で長身、シャープな印象の男性に。オーディエンスのノリはスロースタートで、カーテンコール直前までは静かに見守る印象。しかし最後にはスタンディング・オベーションに。
4/14:夜の公演。プリンシパルは4/9昼の公演と同じコンビ。私が観た3日間では、この日が一番盛り上がった印象。東京の千秋楽が夜の部では当夜、昼の部では翌日だった事もあるかもしれない。
終演後、ヒカリエの2Fで数人のダンサーがファンに囲まれていたが、私は写真を撮れなかった...残念です!
本公演では新曲「Anna Livia」が盛り込まれ、ミステリアスな雰囲気が加わった。
また、ジャガイモ飢饉が引き金となって新天地アメリカに渡ったアイルランド移民と、アフロ・アメリカン(またはプエルトリカン?)のダンス対決、上半身が固定されたアイリッシュダンスと、全身を自由に動かすタップダンスの攻防は「ウエストサイド物語」を彷彿させ、なおかつ数少ないコミカルなシーンとして笑いを誘う。そのようなシーンにこそ、ダンサーの超絶技巧が盛り込まれているところも見逃せない。
哀愁の、そして燃えるようなメロディのフラメンコ「Fire Dance」では、炎のように滑らかに、そして妖艶に舞うダンサーに魅了され、ロシアのコサックダンスでも驚異の跳躍に拍手喝采が送られた。
ケルト民族は元々アイルランドのみならずヨーロッパの広い範囲に分布していて、欧州文化に、そして移民したアメリカにも影響を与え続けてきた事の再確認。
そんな大きなスケールの文化と歴史の旅を、川の流れのように見せるのがRiverdanceなんだなぁと、今回3公演をじっくり観られた事で理解できたように思う。
そしてケルト・ミュージックには当たり前という変拍子。四拍子やワルツに慣れている人にとっては非常にノリづらいリズムだけど、それをモノともせずに完璧なステップを鳴らし、大勢でアンサンブルするダンサー達。圧巻の一言!
個人的な考えではあるけれど、変拍子を多用するプログレッシヴ・ロックが英国を拠点として発展したのは、ケルト・ミュージックの影響が大きいのかな...と思いを馳せた。
フィドル奏者が「桜」を奏でたのも、日本向けサービスとして盛り上がった。
すべてのダンサーが登場し、ダイジェストのように殆どの演目がリプライズされるカーテンコールは、毎回当然のようにスタンディング・オヴェーション。
素晴らしい音楽とダンス、歌の数々に、ただただ感動した舞台だった。
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