2013年12月19日木曜日

Genesis Revisited:Live at Hammersmith / Steve Hackett




※2014.1.21 その後何度か映像を見直し、CDも聴き込んで、少し追記・編集をしました。

国内盤の発売は遅かったですね。本日ようやくamazonから到着しました。
国内盤特典は...折り畳み紙ジャケ、歌詞/対訳カード ...以上。
輸入盤を買った人のレビューか何かで「I Know What I Likeでエラー」というのを見かけましたが、国内盤でもイントロで一瞬映像が止まってしまう症状が認められました。
DVD2枚目のインタビューには翻訳字幕もないので、この内容であれば10月にリリースされていた輸入盤で全然良かったかも。

来日公演でのチッタに比べると数倍は大きいハコの、伝統あるロンドンはハマースミス・アポロ。
一階席/二階席ともにみっちり満員御礼の公演を、ノーカットで収録。
おじちゃんおばちゃん率が高い客層、曲間の至る所で「Supper's Ready !!」リクエスト、そのSupper's Ready中盤での「a flower?」の合いの手、The Musical Box終演後のメチャ盛り上がりなど、6月の来日公演を彷彿とさせるオーディエンスのレスポンスに微笑ましくなりました。ファンの沸点はどこでも似たところにあるもんですね。
ただやはり地元、スティーヴが「Sing along」と言えばみんな唄うし、スタンディングオベーションも多くの曲の演奏後に起きていました。
日本でも初日、Moonlit Knightの際に「Sing along」と言われましたが、我々日本人は唄えませんでした。そして2日目、3日目にはもう言ってくれなくなっていました...。

他に特記できる点としては、おそらくコスト的な問題で来日時には持ち込まなかった、背面のLED3面ディスプレイ。今回の映像化で全貌が確認できると期待していましたが、バンドのパフォーマンスを邪魔しない程度の抽象的な、曲のストーリーに沿ったイメージ映像といった感じでした。
Youtubeで見た別日程のReturn of the Giant Hogweedでは、ギタリスト2人のコミカルなCGアニメが流れていましたが、今回見た中にはそういった路線の画はありませんでした。(このセットリストにHogweed無いですしね)
また、ライティングも巧みに制御された見応えのある演出がなされていて、こちらも地元ならではのアドバンテージだったのでしょう。ライティングの華麗さと言えばジェネシスの専売特許でもありました。ド派手になりすぎた本家とは比ぶべくもありませんが、この規模にふさわしい照明がショウに華を添えていました。

セットリストは流れ的には来日時とほぼ同じながら2曲多く、スティーヴの1stソロからShadow of the Hierophant、ジェネシス「静寂の嵐」からEleventh Earl of Marが演奏されています。
また、ゲスト参加も豪華。
・ニック・カーショウ:Lamia
・ジョン・ウェットン:Afterglow
・スティーヴ・ロザリー:Lamia
・アマンダ・レーマン:Shadow of the Hierophant / Entangled
・ジャッコ・ジャクスジク:Entangled

参加ゲストの担当した曲はアルバム「Genesis Revisited II」に沿ったものです。
ニック・カーショウは80年代に洋楽に馴染んだ世代としては懐かしい名前です。Lamiaでの歌唱はアルバム以上に感動的です。
彼のヴォーカルからギター・ソロに移行するとスティーヴ・ロザリーが登場、ハケットとのギターバトルシーンが魅せ場の一つでもあります。
アマンダ・レーマンは、原曲よりキーを下げてはいるものの、オリジナルで唄っていたサリー・オールドフィールドにも見劣りしない歌声を披露、またギタリストとしてもしっかりスティーヴのサポートをしていました。
Entangledでは、次期クリムゾン・メンバーのジャッコ・ジャクスジクがリード・ヴォーカルを務め、アマンダとナッド・シルヴァン、ギャリー・オトゥールと、リードを取れる3人がコーラスを担当したため、スティーヴはギターに集中していました。来日時はこんなにゲスト連れて来れないから、コーラスに加わっていましたもんね。

ジョン・ウェットンは1996年、最初のGenesis Revisited時はフロントマンとして活躍しましたが、今回はスペシャルゲストとしての1曲のみ。その頃と比べると体格も大きく変わりましたね。トニー・バンクス作のAfterglowを朗々と歌い上げました。彼とジェネシスの直接の関係性ってないと思いますが、スティーヴのジェネシス企画では毎度しっくりハマりますね。今回のステージでは長年の友情が垣間見えて、微笑ましいシーンがありました。
そういえば彼らはスティーヴ・ハウとはうまくいかなかった2人ですね。むむぅ。

見た目、体格で驚いたのはスティーヴ・ロザリー。
マリリオンは全く聴いてこなかったので、正直どんな人かも知りませんでしたが、大きい赤ちゃんのような巨漢ですね。ギターがとても小さく見えました。

それはさておき。
こうして改めて鑑賞すると、このGensis Revisitedという企画は本当に素晴らしい!
「かつてのメンバーによる懐古ビジネス」という斜めの見方も、もしかしたらあるのかもしれません。そんな側面があったとしても、これだけのクオリティで提供されて、間違いなく楽しめるのですから、全く問題ありません。
それにジェネシスという振幅の大きいバンドにあっては、スティーヴの存在がなければ、もはやCDで聴くしかなかったであろう初期のマテリアルが、こんなにも躍動感溢れる形で息を吹き返したのだから、懐古どころかむしろ新鮮ですらあると思います。

特にピーター在籍時のライヴを体験できたのって、ヨーロッパとアメリカの僅かな人たちだけでしょうし、フィル時代になって演らなくなってしまった曲も多いでしょうから、今回あの曲、この曲を初めてナマで聴けた!!という人が沢山いるんじゃないでしょうか。

そして、キーボードのロジャー・キング。スティーヴ関連のエントリーでずっと書き忘れていましたが、この人は重要です。淡々としていますが、このバンドの要ですね。Firth of Fifthは、トニー・バンクス本人もライヴではイントロのピアノソロを端折ってましたし、前Revisited時のジュリアン・コルベックも同様で、更には間奏のシンセソロ部分も全く異なるアレンジになって、バンドの即興パートになったりしていましたが、ロジャーはイントロ、間奏のシンセソロどちらもしっかり忠実に聴かせてくれました。
トニー・バンクスを再現するスキルを持ち、かつスティーヴの盟友として活動する。長年の苦労が報われるビジネス・パートナーですね。
これだけ聴かせてくれると「In the Cage」「Cinema Show」あたりも聴きたいと思ってしまいますが、Cinema Showはスティーヴの存在が小さい曲だから難しいかな。。。

10月、ワールド・ツアーの最終地としてイギリスに戻った一行は、セットリストをリニューアルし、The Return of the Giant Hogweed, The Fountain of Salmacis, The Carpet Crawlersを演奏したそうです。この時期の公演も、これまた伝統のロイヤルアルバートホールのものがソフト化される予定と聞いています。待ち遠しいですね。

以下はYoutubeにアップされているオフィシャル映像。本作からの抜粋です。



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