2022年12月17日土曜日

ブログタイトルを変更しました。

1980年に突入しようという頃、後に名プロデューサーとなったTrevor Hornは、Bugglesというユニットで「ラジオスターの悲劇 / Video Killed the Radio Star」を唄い、MTV時代の幕開けを告げました。


2000年にはそのパロディで「ビデオスターの悲劇 / Internet Killed the Video Star」なんていう動画が一部で話題になりました。


唐突なイントロですが、ブログタイトル変更のお知らせです。

Windowsではまだ辛うじて残っていますが、MacやiPhoneからiTunesが消え去ってから、もうかなりの時間が経過しています
このブログは超不定期で、年単位で放置してしまった闇実績もあり、タイトルは既に使っていない、古い「iTunesで聴いています!」のままでした。

開設してから今に至るまで、私の音楽に向き合うスタイルも変わり、今では殆どディスクを買う事はありません。そもそも「iTunesで~」というタイトルで始めた事からも、私が物質的なコレクター道から足を洗った事、オーディオにも拘っていない事をお察し頂けるかと思います。まぁ、MacもPCも良い音で再生してくれるし、Bluetoothスピーカーも良い音鳴らすので、それで充分です。

近年はサブスクもSNSもかなり充実していて、メジャーどころだけでなくニッチな音源も殆どAppleMusicやSpotyfy, AmazonMusicなどで聴けてしまうし、ブートレグ音源やレア映像もYouTubeを彷徨っていれば、だいたい見つかります。
ユーザーにとっては利便性が飛躍的に上がった一方で、楽曲提供側のアーティスト、作家にとっては受難の時代とも聞きます。CDは売れず、サブスクでリリースしてもアルバム単位では聴かれず、各サービス企業側に取られるマージンも小さくなく、ライブ収益だけが頼りだという話しも。最近になって、ようやくコンサートも普通に興行されるようになってきましたが、この2年前後はコロナ禍で大変でしたし。

CD/レコード・ショップに行く醍醐味は、本来の目的とは別の、思いも寄らない発見がある事だと思います。ジャケ買い、試聴、店員さんのレコメンドPOPなど…。
ですが、街中のCD店はめっきり減ってしまいました。1990~2000年代初頭にかけては、CDショップ黄金期。複数の外資チェーン企業が、首都圏だけでなく地方都市にも隈なく出店していきました。その影響で、特定の層向けに全振りしていない「普通の」個人店は駆逐され、国内企業のチェーン店も苦戦を強いられた側面があります。ただJ-POPのバブル期でもあったので、外資と国内企業の共存が可能な時期でもありました。

そして今は外資/国内企業のチェーン店ともに、首都圏の旗艦店以外はほぼ撤退し、ほそぼそと続けている店もアニメ、アイドル、K-Popに特化して、以前のようなあらゆるジャンルを発見できる場ではなくなってしまいました。

サブスクやYouTubeは探し物に簡単に辿り着く利便性がある反面、想定外の発見という楽しみは殆どありません。僅かに「あなたにおすすめ」的な誘導をしてくれるので、探し物に近い範囲での微妙な発見があるのが、せめてもの救いでしょうか。

今は何でしょうね…「Subscription Killed the CD Store」とでもいう感じでしょうか…。
かくいう私は、まんまとその潮流に乗っている訳です。まだちょっと早いかもしれませんが、終活の準備という事で、これ以上物を増やさないように心がけています。

2022年12月14日水曜日

今さらELP

Still...You Turn Me On 個人的には「恐怖の頭脳改革」に収録のスタジオ・ヴァージョンよりも、アコギ弾き語りライヴ・ヴァージョンの方がグッときます。(この動画、Gregがくっちゃくっちゃしながら唄っているのが気になりますが…笑)

Lucky Man 代表曲のひとつとして挙げられる事も。Gregが初めてギターを手にしたティーン時代に書いた曲としても有名です。

今さらですがELP、しかもGreg Lakeのアコースティック小品にハマっています。密度の高い甘い声、哀愁と優しさ漂うメロディ、アコギの調べ。ELPといえば3人ともが個性と才能に溢れた集団でしたが、特にKeith Emersonに耳目が行きがちなユニットでもありました。ワイルドなパフォーマンスと演奏という点では、Carl PalmerもKeithと競っていましたね。そんな中で若干控えめな印象ではありますが、Greg作の小品も実に味わい深く、もう一つの大きな魅力です。

今なぜ改めてELPを聴こうと思ったかと言えば、前エントリーのASIA in ASIAを観賞したのがきっかけ、としか言いようがありません。あの来日公演は、直前のJohn Wetton → Greg Lakeというフロントマンの交代劇があり、当時 音楽雑誌などの評判は、決して良いものではなかったと記憶しています。特に急遽助っ人加入を余儀なくされたGregの粗探しばかり取沙汰されていました(美青年が肥えた、歌詞を覚えられずプロンプターを見ながら唄った、このライヴが終わったら直ぐに脱退してしまった、など)。
埼玉の片田舎に住み、ライヴに行けなかった当時中学生の私は、約40年の時を経て遂にその全貌に触れる事ができました。実際には80年代にレンタル・ビデオで観ましたし、最近もYouTubeで観る事も出来たのですが、映像も音質もリマスターされた作品に触れ、単純に「Gregスゲー」となったわけです。

 私にとって1970年代のプログレ全盛期は、全て1980年代以降の後追いです。80年代の私はほぼ学生期。小遣いを貯めたりバイトをしてレコードを買っていました。当時は貸しレコード屋なんていう店も流行っていましたが、16歳くらいまで家にはヘボいラジカセしか無かったので、殆ど利用しませんでした。それに、同時代の話題作、ヒットチャートも欠かせなかったので、旧作は2~3ヶ月に1枚程度、所謂名盤と呼ばれる作品を買うのがやっとでした。ただ、当時はテレビもFMラジオも洋楽番組が沢山放送されていて、古い音や映像に触れる事ができたので、それらから受けた影響も大きなものでした。

そんな私が後追いターゲットとして最優先したのはYes。次いでKing Crimson, Led Zeppelinでした。その当時から音楽雑誌では、10年~15年前の作品を「名盤」として紹介してくれるコーナーもあったので、Pink Floyd, Genesis, Rushなどは、そんな感じでピックアップされたものだけを買って聴いていました。

こうして歳を取ると10~20年前、ヘタすりゃ30年前ですら、つい最近のように感じますが、10代にとってのその差は、とてつもなく大きな隔たりに感じられたものです。だって、物心もついていないガキンチョ、もしくは生まれてすらいない時代の話ですからね。

でELPなのですが、結局レコード時代には1枚も買う事がありませんでした。TV放送されたいくつかの映像には感動しましたし、FMエアチェックした曲も少なからずありました。その当時は、Keith Emersonが音楽を担当した映画「幻魔大戦」のテーマ曲も、ラジオでよくかかっていた記憶があります。ともあれ、ELPをしっかり聴いたのは、CD化された90年代にようやく、という感じです。


これはDeep Purpleにも通じるものがあって、特に背伸びしたい10代男子にとっては、ELPとDeep Purpleはちょっとおバカに感じられたのです(笑)。私は結局いまに至るまで、どのバンドでも歌詞を深堀りする事など殆どしないおバカのままなのですが、若かりし頃はちょっと賢くニヒルに感じられる雰囲気が好きだったのだと思います。だから、この偉大な2バンドに関しては、後にCDを買ったものの、1枚もレコードを持たず仕舞いで終わってしまいました。

それでも、10代の頃からの、ELPのお気に入りの曲は幾つかありました。

コレとか


コレとか(結局、私はコープランドの曲が好きって事かな?)

この管弦楽共演版は、1985年にFMで聴いて以来、ずっと好きなヴァージョンです。

KeithもGregも2016年に他界し、私は彼らのライヴを一度も観る事ないまま、機会は永遠に失われてしまいました。遺された音源を聴き続ける事も大切ですが、生の演奏は可能な限り体験しておいた方が良いですね。

2022年11月18日金曜日

ASIA in ASIA ~ Live at the Budokan Arena Tokyo Japan 1983



 このライヴは私にとっては因縁深い事件でした。1983年、中二の秋、人生で初めて行きたいと思い、行けなかったライヴ。

後に出たビデオは高額で買えず(ほぼ同じ年代に出たYes / 9012Liveを選んでしまいました!どちらも¥10,000以上!学生には厳しい価格設定でした)、レーザーディスクは再生ハードさえ買えず、高校に上がってから懐かしのレンタルビデオで1度だけ観て、そこから悠久の時を経て、最近になってやっとYoutubeで再会できたライヴ。

これに行けなかった事で、私の初コンサートはこの5年後のYes ~ Big Generator Tourとなり、その後もYesの来日には何度も足を運びましたが、ASIAは結局ただの一度も観ないまま、John Wettonが他界してしまいました。この時だけスポット参加したGreg Lakeも既に鬼籍入り...

そして約40年の時を経て、ようやく手にしたこのボックスセット、我が家のBlu-rayレコーダーが故障したままなので、画も音もレストアされたという映像はまだ観る事ができていません…

しかし、です‼

MTVが総力を結集し世界中に衛星生中継した12/7、その前日の12/6のオンボード音源が2枚のCDとして収められ、その音質、演奏ともに最高すぎて、それだけで既に『刻への浪漫(敢えて中二っぽい当て字・笑)』を味わう事となりました。

封入特典も豪華で、当時の若々しいメンバーの写真を使ったポストカード、コンサートチケットやバックステージパス、パンフレットの復刻版まで入っています。くどい繰り返しですが、行けなかった私としては最高のパッケージです。

今のように情報が簡単に入らなかった当時は、音楽雑誌だけが頼りでした。そこには評論家の好みであったり、故意か不意か誘導的な感情の文体であったり、実際に体験できなかった読者は、それを読んで想像するしかありませんでした。

来日直前に参加オファーのあったGreg Lakeの後評判は、あまり良いものではなかったと記憶しています。ですが、このCD2枚を聴いて、良くやった!!と拍手を送りたくなりました。John Wettonよりキーが低いために、楽曲そのものを彼の声域に合わせなければならなかったそうですが、脂が乗っていた当時の演奏を聴いていると、歌もアンサンブルも素晴らしいし、テンポも良いし、下げたキーはさほど気になりません。

映像に収められなかった2度目のアンコール「Cutting it Fine」は、確かにギターイントロが終わった直後に不自然な転調が見られますが、「ん?」と感じたのはそこくらいです。
この2度目のアンコールのセトリは、長らく謎に包まれていたそうです。既出&今回レストアされた映像作品は、当時の生放送に合わせた状態のまま最初のアンコールSole Survivorで終了します。
2ndアンコール最終曲は、アルバムから洩れたのが不思議なほどの名曲Daylight。Cutting it Fineからの流れも感涙モノです。

Greg LakeはELPも含め、遂に一度も観ることなく他界してしまいました。
John WettonはAsiaで観ることは叶いませんでしたが、1996年のSteve Hackett and Friendsで観られましたし、その際はアコースティック・アレンジのHeat of the Momentを聴く事ができました。
存命メンバーの中ではCarl Palmerだけまだ一度も観ていません。
Steve爺さんはABWH以降、老いの進捗を確認するように何度も観てきました(私は彼の長男Dylanと同い年ですが、共に老いたと言うべきか。笑)。
GeoffはYesで3度ほど。Drama, Fly from Hereはとても好きな作品ですが、彼はやはりAsiaの印象なのでYesで観ても有り難みが...笑。

まだ聴き込んだと言えるほどではありませんが、一番驚いたのは、メロトロンが意外なほどふんだんに使われていた事です。Geoffのキーボードといえばシンセが第一に思い浮かび、加えてオルガンとピアノを印象的に使うという認識でした。
Steveのギターも太く、速く、よく言われるモタりも、まだ「タメ」としてカッコよく感じられる程度で、なかなか聴けないくらいロックしているのがイイ!
Carlの走るドラムは疾走感を持ってグイグイ牽引していくのがとても気持ち良い!
そしてGreg!前任者のJohnとはKing Crimsonの先輩後輩の関係でもあり、歌唱、ベースプレイ、存在感は全く遜色ありません。歌詞を覚えきれず、プロンプターで表示させていたそうですが、そんな情報要った?っていうくらい朗々と歌い、自分のものにしているように聴こえます!プロですね〜!

rrrrRock no Youi, Iidesuka⁉︎ (Are you ready to Rock’n’Roll!?)