「未知への飛翔」。長風呂の遅刻魔クリス・スクワイアに付けられた(のか自ら名乗ったのか)アダ名がFishでした。
実は私この作品、皆さんが言うほど今まで評価出来ていません。
正直いまも「そんなに傑作かあ〜?」という感じです。
オープニングの「Hold Out Your Hand」から連続する歌もの「You By My Side」に心掴まれなかったクチだったんです。
特に「Hold〜」は歌メロに魅力を感じなかったし、このアルバムに限ってクリスの声が好きになれず、なんだかなぁと、ずっと感じていたのです。イエスでのコーラスにはクリスの声は必須だとずっと思っているのですが。。。
参加アーティストが豪華なのも魅力のハズなんですけどねぇ。
大好きなビル・ブルーフォード、パトリック・モラーツ、クリムゾンからはメル・コリンズ、カンタベリー・シーンで活躍したジミー・ハスティングスなど。
改めて腰を据えて聴いてみると、3曲目以降が本気モード、冒頭の2曲はプロローグ、序章だな、と思えてきました。
ここからが真骨頂ですね。ビルのドラムもセッション参加とはいえ「らしく」なってきますし、オルガンとベースの絡みも疾走感を伴ってきます。
LP B面のLucky Sevenになると、Yes流に整えたCrimsonという雰囲気で始まります。
ラストのSafe(Canon Song)では11拍子のシンプルなリフを土台にベース、ギター、ドラム、管弦楽などが徐々に盛り上げていき〜の、大団円。
Yesで言えばStarship Trooperの「Würm」、Genesisだったら「Supper's Ready」の「Apocalypse 9/8」、Steve Hackettの「Shadow of the Hierophant」にも通ずる繰り返しのトリッピーな「麻」力が、壮大なスケールで展開されます。
いろいろネットを見ていると、1975年当時のイエス・メンバー「ソロ作プロジェクト」の中で本作が一番イエスらしい、という声が多くありますが、僕は一通り聴いて(すみません。アランのだけ未聴です、おそらくこれからも)多くの作品がイエスの1ピースではあるけれど、誰の作品もイエスらしいというのは当てはまらないように感じています。
それでも唯一の、一度としてYesを離れなかった男の作品だなぁ、という説得力も強く感じました。
一方、単純に音楽の総合力で一番だったのは、今でもパトリック・モラーツの「Story of i」だったと思っていますが、彼の作品は果たしてYesの1ピースか?と考えると少し違う気がしますね。
スティーヴの「Beginnings」は、アレは別の楽しみですねw
ファンの贔屓目かもしれませんが、冒頭曲の「Doors of Sleep」やラストの「Break Away It All」なんかはメロディ・メーカーとしての才能を発揮していると思います。
しかしスティーヴの場合は歌がアレなんで・・・オーストレイリアァ〜♪