2022年11月18日金曜日

ASIA in ASIA ~ Live at the Budokan Arena Tokyo Japan 1983



 このライヴは私にとっては因縁深い事件でした。1983年、中二の秋、人生で初めて行きたいと思い、行けなかったライヴ。

後に出たビデオは高額で買えず(ほぼ同じ年代に出たYes / 9012Liveを選んでしまいました!どちらも¥10,000以上!学生には厳しい価格設定でした)、レーザーディスクは再生ハードさえ買えず、高校に上がってから懐かしのレンタルビデオで1度だけ観て、そこから悠久の時を経て、最近になってやっとYoutubeで再会できたライヴ。

これに行けなかった事で、私の初コンサートはこの5年後のYes ~ Big Generator Tourとなり、その後もYesの来日には何度も足を運びましたが、ASIAは結局ただの一度も観ないまま、John Wettonが他界してしまいました。この時だけスポット参加したGreg Lakeも既に鬼籍入り...

そして約40年の時を経て、ようやく手にしたこのボックスセット、我が家のBlu-rayレコーダーが故障したままなので、画も音もレストアされたという映像はまだ観る事ができていません…

しかし、です‼

MTVが総力を結集し世界中に衛星生中継した12/7、その前日の12/6のオンボード音源が2枚のCDとして収められ、その音質、演奏ともに最高すぎて、それだけで既に『刻への浪漫(敢えて中二っぽい当て字・笑)』を味わう事となりました。

封入特典も豪華で、当時の若々しいメンバーの写真を使ったポストカード、コンサートチケットやバックステージパス、パンフレットの復刻版まで入っています。くどい繰り返しですが、行けなかった私としては最高のパッケージです。

今のように情報が簡単に入らなかった当時は、音楽雑誌だけが頼りでした。そこには評論家の好みであったり、故意か不意か誘導的な感情の文体であったり、実際に体験できなかった読者は、それを読んで想像するしかありませんでした。

来日直前に参加オファーのあったGreg Lakeの後評判は、あまり良いものではなかったと記憶しています。ですが、このCD2枚を聴いて、良くやった!!と拍手を送りたくなりました。John Wettonよりキーが低いために、楽曲そのものを彼の声域に合わせなければならなかったそうですが、脂が乗っていた当時の演奏を聴いていると、歌もアンサンブルも素晴らしいし、テンポも良いし、下げたキーはさほど気になりません。

映像に収められなかった2度目のアンコール「Cutting it Fine」は、確かにギターイントロが終わった直後に不自然な転調が見られますが、「ん?」と感じたのはそこくらいです。
この2度目のアンコールのセトリは、長らく謎に包まれていたそうです。既出&今回レストアされた映像作品は、当時の生放送に合わせた状態のまま最初のアンコールSole Survivorで終了します。
2ndアンコール最終曲は、アルバムから洩れたのが不思議なほどの名曲Daylight。Cutting it Fineからの流れも感涙モノです。

Greg LakeはELPも含め、遂に一度も観ることなく他界してしまいました。
John WettonはAsiaで観ることは叶いませんでしたが、1996年のSteve Hackett and Friendsで観られましたし、その際はアコースティック・アレンジのHeat of the Momentを聴く事ができました。
存命メンバーの中ではCarl Palmerだけまだ一度も観ていません。
Steve爺さんはABWH以降、老いの進捗を確認するように何度も観てきました(私は彼の長男Dylanと同い年ですが、共に老いたと言うべきか。笑)。
GeoffはYesで3度ほど。Drama, Fly from Hereはとても好きな作品ですが、彼はやはりAsiaの印象なのでYesで観ても有り難みが...笑。

まだ聴き込んだと言えるほどではありませんが、一番驚いたのは、メロトロンが意外なほどふんだんに使われていた事です。Geoffのキーボードといえばシンセが第一に思い浮かび、加えてオルガンとピアノを印象的に使うという認識でした。
Steveのギターも太く、速く、よく言われるモタりも、まだ「タメ」としてカッコよく感じられる程度で、なかなか聴けないくらいロックしているのがイイ!
Carlの走るドラムは疾走感を持ってグイグイ牽引していくのがとても気持ち良い!
そしてGreg!前任者のJohnとはKing Crimsonの先輩後輩の関係でもあり、歌唱、ベースプレイ、存在感は全く遜色ありません。歌詞を覚えきれず、プロンプターで表示させていたそうですが、そんな情報要った?っていうくらい朗々と歌い、自分のものにしているように聴こえます!プロですね〜!

rrrrRock no Youi, Iidesuka⁉︎ (Are you ready to Rock’n’Roll!?)