2020年8月12日水曜日

Aviary / Soaring(35年を経て判明したラジオのあの曲)

若かりし頃にFMで聴いて以来、実に35年を経て判明した、私にとっては奇跡の1曲です。

以下は既に記憶が曖昧な部分が多々あり、Youtubeにアップされていたラジオ番組の音源を頼りに記憶と合致した内容が多く含まれます。

1985年、洋楽を聴き始めて数年が経ち、十代も半ばに差し掛かった頃、MTVでは飽き足らず昔の音楽にハマり始めた私は、難波弘之さん、渋谷陽一さんがDJを務めるラジオ番組をよくエアチェックしていました。

特に当時の私的ロックスター、ASIAやYES(90125)がきっかけで、プログレに引っ張られていました。

1985年5月放送のFM東京「マツダ・ザ・ミュージック(プログレ今昔物語)」を、いつものようにエアチェック。テープが勿体ないのでトークは録らず、音楽のスタート/エンドをタイミングよくボタン操作するのがルーティンになっていました。

アーティスト名、曲名はその場でメモったり、新聞やFM雑誌で確認したりしてインデックス・カードに書き込んでいたので、聞き間違いや聞き落としも頻発していました(笑)

そのカセットテープは転居を繰り返す中で処分してしまい、音源を失って既に長いのですが、上に貼ったYoutubeを見つけて鮮明に思い出しました。

松原みき / 真夏のゲーム

Jethro Tull / Bouree

ジェラルド / 今宵使者は来たりぬ

ELP / Abandon's bolero

Aviary / Soaring

Kansas / How My Soul Cries Out

U.K. / Thirty Years

ジェスロ・タル、ELP、U.K.辺りはその後 自力で該当する音源を見つけましたが、この放送回で一番に感動した曲がつい先日まで分からず終いで、心の隅に引っ掛かりつつも殆ど諦めていました。

曲前のトークがELP(パウエル)再結成の話からFocus再結成に展開した事もあって、そこだけ私の中でおかしな結び付けができてしまい、長い事Focusの曲と思い込み、彼らのアルバムを虱潰しに聴いた事もありました。

曲名もトークからのうろ覚えで「ソーリー(sorry)」と聞き間違えていたので、そりゃ見つかる筈もありません(笑)

よくよく考えればFocusとは似ても似つかない音楽性なんですが、泣きのギターはもしやヤン・アッカーマン?、ヨーデルの超絶ヴォーカルだから後期はポップに寄せてファルセットコーラスも?でも音は全然似てないよなぁ、と迷いながらもFocusはFocusで楽しんだ時期がありました。

この6月末から、両親の介護で実家帰省した事がきっかけで、もはや家財などは跡形もない元自室で過ごしているうちに、このラジオ番組の事を思い出しました。

過去にも何度か検索はしていたのですが、ヒットした事が一度もなく。

今回、実家でたまたまyoutubeでサーチしてみたら、まさかの番組音源がまるっとアップされているではありませんか!

しかもyoutube上の情報を見るとアップされたのは、ほんの一カ月前!

35年を要したとは言え、なんというタイミングでしょう!

やっと分かったAviaryというバンド。この35年間、私の音楽人生に全くカスりもしませんでした(笑)

1979年に公式アルバムを1枚だけリリースして散った薄幸のバンド。

LAメタル前夜ともいうべきブロンド・ロン毛にヒョウ柄ジャケット、革パンというダサいルックス。ジャケット・アートもジャンボ旅客機の両翼が猛禽類の翼という超絶ダサ・ジャケ(笑)。

なんですが!

音楽性の高さはなかなかではないでしょうか!

当時から今に至るまで、Queen,Sparks, 10ccなどが引き合いに出されていたようですが、ただの模倣には終わらずオリジナリティもしっかりあります。

売れなかったのは、音楽性と相容れないヴィジュアル/イメージ戦略の失敗としか思えません。

当時15歳の私が感銘を受けた曲「Soaring」は、長年得られなかった情報にノスタルジーなどのバイアスがかかって美化されただけかも、という杞憂がありましたが全くそんな事はなく、当時と同じ感動がありました。

戦争のパイロット哀歌かつ、緊張が続いた冷戦にもサラッと警鐘を鳴らす社会派の歌詞。泣きのメロディ、重厚かつ美しいファルセット・コーラスのサビ、歌いまくるギター・ソロ、ピアノやストリングスの抒情が詰め込まれた、正に隠れた名曲でした。

80年前後に興ったポンプ・ロックに含まれるらしいですが、そのあたりはよく分かりません。とにかく唯一のオリジナル・アルバムは再評価されて然るべきクオリティがあります。

この放送回のゲスト、故 松原みきさんが紹介した2曲は本当に私の琴線に触れまくりで、もう一曲の「ELP / 奈落のボレロ(ロンドン・フィル競演バージョン)」はスタジオ・オリジナル・バージョンよりも、他の数あるELP名曲群よりも、一番聴いたかもしれません。

それにしても長年探し求めていた曲を、それをオンエアしたラジオ番組丸ごと聴けてしまった奇跡。一気に当時にタイム・スリップした気分を味わえたひと時でした。