Vittorio Camardese ospite a "Chitarra Amore Mio" (RAI-1965) LA NASCITA DEL TAPPING
私はずっと、ポピュラー音楽界でのタッピング奏法を、いち早く「音楽的に」取り入れたのはSteve Hackettその人だと思ってきました。
かつて読んだインタビューでも、本人がそう自負しているコメントを何回も見かけました。
バッハの音楽から着想を得た、Tony Banksのキーボードと対等以上に渡り合うために発明した、という具体的な話もありました。
また、大昔に読んだ音楽雑誌では、GenesisのライヴにEdward Van Halenが足繁く通っていて、彼がSteveの演奏を見ていた、という記事も目にした覚えがあります。
ただ掘り下げていくとキリがなく、最終的にはクラシック・ヴァイオリン/ギターの超絶技巧演奏家にして作曲家のパガニーニ(18~19世紀)が、既に演奏に取り入れていたとも言われています。
今回、探すつもりでもなく、たまたま辿り着いてしまったこの映像。1965年の撮影だそうです。イタリアのジャズ・ギタリストで、ガット・ギターでタッピングをしています。
しかも初期Steve Hackettのような単弦のアルペジオではなく、チャップマン・スティックを操るがごとき右手の華麗な指さばき。
ディシプリン期のKing Crimson、Tony Levinの演奏を思わせるような、無機的、幾何学的なフレーズを、文字通り叩き出しています。
もはやタッピングなんて今更どうこういうほどでもない、ポピュラーなテクの一つではありますが、遡っていくと「歴史に埋もれた才能」というのは、ひょんなところから出てくるものだなぁとつくづく感じました。
余談ですがこの番組、最後にインタビューアが先に立ち去り、演者を置き去りにしています(笑)。ギタリストも、見ているこっちも「お前が去るんかい!」とツッコミたくなる終わり方をしています。