久しぶりに新譜を5枚も買いました。十数年前なら当たり前の行為でしたが、今の僕にとっては少しばかりやり過ぎの大人買い。まだ全部を聴き込んでいないので、時間を作りながら追ってレビューしていきたいと思います。
Beckのアルバムを買ったのは'98年の「Mutations」以来。
Loserの衝撃からしばらくはフォローしていましたが、僕の音楽嗜好が逆回転し始めてからは、全く聴かなくなっていました。
今は音楽雑誌も殆ど買わないので評論家の言葉の情報も当てにせず、ふらっとCDショップに立ち寄った時に、目的がない場合は視聴して選んでいます。
ネットの視聴では、自分で目的を持って探すという能動性が必要で、たまたま「あ、誰々の新譜でたのか!」という偶然の発見はなかなか難しいですよね。
という事で、2月の発売から2ヶ月以上経っていたのに運良く視聴できた本作、今は一番の愛聴盤となっています。
冒頭の「Cycle」はストリングスの和音が僅かに変化するだけの41秒の小品なのですが、これだけで僕は引き込まれてしまいました。
そこから続くのは全面アコースティック・ギター、そして控えめながら効果的なストリングス、Beckの歌声もとても味わい深く、心に染み渡ってきます。
静寂に包まれて時に牧歌的で、アクティヴな音像は殆ど見当たりませんが、聴き終える頃には穏やかな感動に包まれます。
2002年の「Sea Change」と対の作品という事らしいし、これを聴いてしまったからには、僕がロストした10数年分の彼の作品群を改めて追い直してみたい、そう思わせるだけの力がある素晴らしい作品です。